短編小説みんなの答え:2

静寂の崖

北海道の、端っこの端っこにある、小さな村。 右も左も畑、畑。 そんなところに、タマオは住んでいた。 タマオは、よく、あの場所にいく。 家の手伝いをさっさと終わらせて、あの場所にいく。 そう、あの場所を、タマオは「静寂の崖」と呼んでいた。 蝉の声や鳥のさえずり。川の音。風の音。 あたりの草が立てる、サラサラと心地の良い音。 どこか落ち着かせてくれる、あの音。 どこまでも自然でできていて、まるでこの世界にはタマオしかいないんじゃないかと思わせられる、あの音。 ノイズが聞こえない、あの音。あの場所。 誰も知らない、あの場所。 今日も、タマオは「静寂の崖」にいく。 静寂の崖で、本を読む。 静寂の崖で、歌を歌う。 静寂の崖で、「あの子」のことを思い出す。 あの子……氷雨のことを。 何もしないでぼうっと考えていると、ついにタマオは頭がおかしくなったのかもしれない。 だって、氷雨の声が聞こえるんだもの。 氷雨がそこに、いるんだもの。 「こんにちは。タマ」 タマ……氷雨はタマオをタマと呼ぶ。 それが懐かしくて、苦しくて、泣きそうになる。 「氷雨……どうしたの?」 「なによ。どうしたのって。この場所あたしに教えてくれたの、タマじゃない」 ああ、たしかに教えたよ。君にしか教えていないよ。 不意に、目頭が熱くなった。 「あはは。なによ、タマ。ないちゃって。……こっちだってないちゃうじゃない……!」 氷雨は泣いていた。 そして、こういった。 「あたしに縛られないで。過去に縛られないで。いい? あたしは死んだのよ。トラックにはねられてね。それは事実なの……悲しいけどさ。だからさぁ、あたしの分もタマは生きてよ。絶対! 約束だから!」 氷雨は、段々と薄くなっていった。 「さよなら、タマ。大好き」 タマオは、黙っていた。 その時は、氷雨に返事を、できなかった。 まあ、返事ができたのは何年も、何十年も後のことなのだけれど。

みんなの答え

辛口の答え

※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!

最高!

キョンキョンです!本当に感動しました! 物の表現の仕方が、とても良くて静寂の崖に行ったような感じがしました。 特に、最後のぎょうで話が繋がって、すごく泣けるお話でした! これを書いた人、凄い! 最高です!


感動!

おはにちばんわ!虹色花火だよ! 本題 とても感動しました!いい話でした!ありがとうございました!


12を表示

他の相談も見る

ランキングページへ

相談に答える

相談の答えを書くときのルール

【「相談する」「相談に答える(回答する)」ときのルール】をかならず読んでから、ルールを守って投稿してください。
ニックネーム必須

※3〜20文字で入力してね

※フルネーム(名字・名前の両方)が書かれた投稿は紹介できません


せいべつ必須

ねんれい必須
さい

※投稿できるのは5〜19さいです


都道府県必須

アイコン必須

答えのタイトル必須

※30文字以内


じこしょうかい

※140文字以内

※自分の本当の名前、住所などの個人情報(こじんじょうほう)は書かないでね


ないよう必須

※500文字以内


辛口

※ないようがきびしいコメントの場合はチェックをつけてね!


ひみつのあいことばを設定してね

他の人にわからないように、自分しか知らないしつもんと答えを入力してね。

※ひみつのあいことばは忘れないようにしてください

※自分が選んだしつもんや答えが他の人に見えることはありません

ひみつのあいことば①必須

※使える文字: ひらがな・カタカナ・半角英数字

※半角カタカナ、全角英数字が使えないよ

※2〜20文字で入力してね

ひみつのあいことば②必須

※使える文字: ひらがな・カタカナ・半角英数字

※半角カタカナ、全角英数字が使えないよ

※2〜20文字で入力してね