灯火の狩人
ボクは死神の紫雲灯(しうんともり)。 亡くなった人の魂を冥界に引き渡す仕事をしている。 ボクが直接魂を抜き取ってるとかじゃなく、予め何らかの因果で死の運命が決定された人のもとへ行き、亡くなったあとに魂を回収するのだ。 死の運命は、なかなか変えられるモノではない。 誰かの殺意が絡んでいると、特に。 ボクには、仕事をする上での信念がある。 それは、『どんな最期であれ、死の原因を明白にすること』。 そこでボクは、とある探偵とタッグを組むことにした。 約束は、『対象の魂の持ち主が事件で人がなくなった場合、真実を明らかにすること』。 ボクは肩書き上助手となり、彼に同行するようになった。 まぁ、殺人事件だけでなく、定番の浮気調査なんかにも共同で挑んだ。 彼とはこれまで数件の事件を共にしたが、彼はそのすべてを綺麗に解決して見せた。 一件目は、豪華客船での毒殺事件だった。 今だから言えることだが、ボクは面白半分で、その事件の解決まで『ボクは直接魂を抜き取っていない』ということを黙っていたのだ。 彼がどんな反応をするか気になった、という理由だけで。 案の定、彼は、ボクが直接やっているものだと思っていた。 その後ちゃんと話をして誤解は解いた。 今では、ボクと一緒にいることの罪悪感も和らいできているようだ。 今日もボクは、事務所でコーヒーを飲む。 といっても、彼が淹れてくれたものだが。 コーヒーを淹れ終えた彼は、両手に湯気のあがるマグカップを持ってソファーのほうへ戻って来た。 そして、ため息。 「はぁ...この間の依頼も終わったし、暇になったな」 「...いいじゃないか。それだけ平和ってことさ」 「...だな。...ははッ」 彼は困ったように笑った。 ブラインドの隙間から注ぐ、午前の日差しが暖かい。 ボクはコーヒーを飲みながら、今という至極平和な時間をじっくり味わうことにした。