短編小説みんなの答え:0

真っ白な天井、真っ青な空

朝ーーーー閉めたカーテンの隙間から入り込む光で、目を覚ます。 元気に登校する小学生の声がうるさい。 「…目覚めなければ良かったのに」私はもう、この世の全てに疲れていた。 かと言って死ぬとかそんな事は出来ない、弱い人間。 そんな私の目に映っているのは、ただただ真っ白なだけの天井。昨日と変わらない光景。「コンコンッ」 ドアを叩く音がする…それが誰なのかは、もう分かっている。 「あのね、もう学校は行かなくても良いから、お母さんと一緒に朝ごはんでも食べない…?」 私は返事をする事さえ出来なかった。「…ここにご飯置いておくから、気が向いたら食べてね」 母親が部屋のドアから離れた途端、申し訳無さなのか、涙が溢れてきた。 春なのに不思議と寒気もする。 ーーーーあれから3時間経った 天井をずっと眺めて、何もない時間をずっと過ごしている。朝食を食べる気になんてなれない。 何も起きない、何も考えなくていい、真っ白な時間。 「喉が渇いた」私は無意識にその言葉を口にした。そういえば…最後に水を飲んだのは昨日の夜だった。 台所に行こう。そう思うけれど、体が鉛の様に重くて、上手く動かない。 結局台所に行くまでに20分も掛かってしまった。一気に大量の水を飲む。でも私の渇いた喉は潤わなかった。 「…窓が開いてる」夏でもないのに何故か窓が開いている。 窓を閉めようとしたその時ーーーー私の真っ白な気持ちとは裏腹の、どこまでも真っ青な空が、私の目に飛び込んだ。私はそのあまりの美しさに、思わず窓から家を飛び出た。 歩道に突っ立ってただ空を見上げている。端から見れば私はただの変質者だ。 でもそんな事はどうでも良い。朝に発した言葉が嘘のように、私は心が躍っていた。 「こんな所でどうしたの…!?」母親の声がする。 「今…空を見てた」「…そうなの、すごく綺麗ね。今、お昼ご飯を作ろうと思っていたの。嫌だったら良いんだけど…もし良かったら、一緒に食べない?」「…うん」私は口を開いた。いつもは重い口…でも、何故だか今日はとても軽い「…!今作ってくるわね、少し待ってて」何年ぶりだろうか、私は幸せな気持ちに包まれた。 あれから2ヶ月ーーーーーー 私は今日も真っ青な空を見上げている。まだ学校には復帰できていない。真っ白な天井を見つめる日常が、真っ青な空を見つめる日常に変わっただけ。でも…前よりは、ずっと、ずっと心地良い。

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