カンドウモノガタリ?
ボクには両親がいない。 ボクに心臓を移植した母、体の弱かった父、父に似たボク。どんな人だなんておぼえてない。 ひさしぶりに母の部屋に入った。1つだけ開けていない箱を開けようと思ったのだ。 中には、ビデオテープがあった。再生して、ノイズに混じった声を聞いた。母がボクを呼んでいる。 「……今あなたがこれを見つけたころには、お母さんもお父さんも……いないでしょうね。 あいつ、父さんは、血のつながっていない私より、自分とあなたを大切にした。そう、私はただの、<心臓を子に移植したやさしい妻>。 だから、あいつも、あなたも、ミチヅレにする。さようなら」 音も光もない部屋にとり残され、始めて体の異変に気づいた。心臓は、父のもの。もしくは、手術なんて……。 父さんと母さんと、同じところへ、ボクも。