手が届かないものですから。
・・・・《月が綺麗ですね》・・・ 何度、そう言われたいと願ったか。 『死んでもいいわ…なんてね。』 誰しも一度は憧れるであろう。 月が綺麗ですね、死んでもいいわというやり取り。 私?勿論憧れていますとも。 見えない糸で繋がった相手に是非とも言われてみたいからね。 「やあ。えっと、今日予定ある?無かったら…」 『僕と一緒に食事でも?』 「よく分かったね。で…どうかな?」 『勿論。待ち合わせは?』 今夜は忙しくなりそうだ。 まさか、結構お高い値のレストランだなんて思いもしなかった。 願いが、叶うかも。 「美味しいかい?」 『ふふ、とっても。』 肉を口に含みながら相手の顔を伺う、少し緊張しているようだった。 「それは良かった」 『君が選んだ店だからね。美味しいよ』 相手の手が、一瞬とまった。 何やら心を落ち着かせているように見える。 「つ、月が…………綺麗ですね。」 そうか。今日は満月だった。 窓の奥には、雲一つない夜空に浮かぶ、綺麗な満月。 私は相手の目を見た。 そして、精一杯の笑顔で、 _ __ ___ ・・・・《月が綺麗ですね》・・・ 何度、そう言われたいと願ったか。 願いは叶った、でも君じゃない。 《月が綺麗ですね》 だから私はこう答えるでしょう。 『私の夜空は真っ暗です。』 手が届かないものですから。
みんなの答え
辛口の答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
すごい!
なんて、ロマンチックなんでしょう。
最高すぎん?
うん。めちゃいいね!ヤバい
1 〜 2件を表示