運命の悪戯
小さいころは、魔法を信じ、物を浮かせたり、空を飛ぶのにあこがれていた。単純であり、純粋だった。しかし、成長するにつれ、現実を知り、少なくとも、俺みたいな奴には関係ないんだと思うことになった。目の前にあるのは普通すぎる日常だ。 俺は平凡であるがゆえ、そういう「特別」にあこがれる。魔法なんて...と思いつつ、信じるのが人間なのだ。というわけで、よく空想というか妄想?してしまう。絶対引かれるので秘密だが。 たとえば、朝起きて支度をしながら(時間ヤバい!)という焦りと同時に、(時間を止めたい!)と思う。 つまらない授業中、ぼけ~っとしながら(チョークを浮かせられたら面白いな)と思ったり。 外を見て、(自由に空中を歩けたら)と思ったり。 別の棟にある職員室に向かいながら(ワープって便利だよな)となる。 ごみの浮いた川の横で(ごみを空中に集めてエネルギーボールみたいにしたら一瞬できれいになるだろうな)と足元の缶を拾いながら想像。 宿題のため、教科書をだすが開く気にはなれない。こんなとき、(勝手にめくれるといいな)と思ったが、これはもはや怪奇現象か。 と、まあ普通の日常の中に、このような空想を盛り込むことで、わくわくをほーんの少し感じられるわけだ。 こういうのは厨二病ということになるのだろうか? ~ところ変わって、日本のどこか(?)~ 朝からシャキっとするなんて無理、と眠い目をこすり支度をする。いつものようにのろのろと制服を着る。しかし、時間は余裕たっぷりだ。そんなとき、どうも俺は体感時間を遅く感じる。ちょっぴりお得だな、と学校に入る。 いつもの授業を退屈すぎてつい、聞き流すが、先生が話しているときチョークが浮いてたんだ。ふわふわ~って。みんなちょっとざわついてたけど、俺は退屈な授業にいい刺激だと面白がってた。チョークが浮くの、これが初めてじゃないんだよな。 次は体育で、ふざけて鉄棒の上に立ってたらバランスをくずした。 ぐらっと体が傾き、前のめりになる。前頭から落ちないよう足を前に出し、思わず目をつぶる。すると、妙な手ごたえ、いや足ごたえを感じた。そのまま、階段を下りるみたいに無事、地面に着地。かすり傷ひとつ無かった。 俺の教室から一番遠い、理科室に移動しなきゃいけないときはすごく面倒くさい。うちの学校、バカみたいにでかいから。都会でもないのに。だけど、教科書ぱらぱらしてたら、いつの間にか着いてた。まだ、誰も来てない。早すぎたかな? 帰り道、家の側のごみ置き場が荒らされているのを見つけた。カラスの仕業だろう。どうしようと思っていると、風もないのにごみが集まりだした。そしてちょうど、サッカーボールぐらいの大きさにギュッと丸まってゴミ袋に収まった。面白い。 家に帰って、思い出した。今日は俺が晩御飯のおかず係だったんだ。料理本を出して考えていると、勝手にぱらぱらめくれて、開いた。 よし、じゃあ今日のおかずは肉じゃがに決定だ。家族には好評だった。 今日も楽しかった。俺の周りでは、たまに不思議なことが起こる。最近は若干慣れてきたから驚くことはないが、俺の日常の充実の理由になっている。霊などの悪いものではないと確信もしている。明日は何が起こるだろう。 今日もある男は考える。何か面白いことはないかと。また、ある男は身の回りの摩訶不思議な出来事を楽しむ。 生き物はどこにいるかも知らない、誰かと、運命の糸で繋がっているようだ。