青空に咲くひまわり畑
大丈夫だから。 私、1人でもがんばるから。 ちゃんとやるから、安心して……!! 約束。 そう言った日の空は、透き通る青だった。 今日は、2089年7月4日。15歳。 私の周りに広がるのは、太陽に向かって輝くひまわりの花たち。 ここは人里離れたひまわり畑。私がここに来てもう2年になる。 私は、人間みたいだけれど地球人ではない。火星人、だ。 地球人は火星人がいるのではないかと噂している。見つけてはいないけれど、いる。私達は、そんな地球人に見つからないよう、地球人には姿を見えないようにしている。わかりやすく言えば、透明人間のようなものだ。 地球人は昔から私達火星人を盗撮し、ニュースにしたり、研究したりしている。 時は進み、何もかもが進化した。 ある日ついに、私達は一つの失敗をして地球人に見つかってしまった。 薬が足りず、人間に姿を見せてしまったのだ。 私達火星人は、はるか昔から地球にひっそりと移住していた。その時、大量の透明薬を作って持ってきていたのだが、底をついてしまった。 この薬の材料である薬草は、火星でしか採れない。 すぐさま代表の者を派遣したが、ロケットが故障してしまい、行けなかった。 研究所に連行された私達は、檻に閉じ込められた。手錠をかけられて、鍵も閉められて。 みんなが泣いていた。 地球人ってなんて残酷なんだ、って誰もが思ったことだろう。 来る日も来る日も実験された。 そのせいで亡くなる人もいた。 地球人達は、葬式も何もしない。悲しみさえしない。ただ淡々と実験するだけ。 怒りと悲しみ、悔しさ、恐怖……嫌な感情が頭の中を延々と駆け巡る。 地球人は私達の話は聞いてくれない。 私達が、どうして? 何も悪いことしてないのに? 白い蛍光灯の下、私は横になっていた。 これから実験体にされるのだ。 ここから出たかったけど、もう叶わないだろう。 私以外の人は、すべて死んでしまった。 ひとりじゃ逃げられない。 もう、諦めていた。 その時だった。 準備のため、研究者達がこの部屋にはいなかったのが幸運だった。 誰かが私になにか言って手術台から強引に下ろした。びっくりしてしっかり目を開けると、知らない少年が私の手を引いて走り出していた。 私は久しぶりに外に出た。 雨上がりのアスファルトの上を走った。 雑草の生い茂る小径を走って、やっとこのひまわり畑についたんだ。 彼はこのひまわり畑にいなよ、と言ってくれた。 火星人は、寒暖を感じないので、外でも生活出来る。 お礼を言うと、彼は露のような粒を取り出した。指ですりつぶして私の頭にふりかけた。 私は、彼以外の地球人には見えない体になれた。 彼は私と同い年で、中学生というものになったらしい。 明日から、学校の寮というところで生活するという。 このひまわり畑は彼が作ったものだった。彼はこれからしばらくここには来られない。つまり、ひまわりの世話ができなくなってしまうのだ。 今年で終わりかな、と言う彼に私は、とっさに"約束"をした。 私がこのひまわり畑を守る、と。 それから3年以上が経った。 私は15歳になった。今日彼が帰って来る。 私はずっと彼に感謝している。 彼がいなかったら私は今生きていないだろう。 命の恩人であり、救世主だ。 そして。 私の中に新たな気持ちが渦巻いている。 私は彼に恋をしていた。 ひまわり畑に立って上を見上げると、背が高くなった彼がこちらに近づいてきた。 懐かしさ心が躍る。 ドキドキがシャボン玉のように上がっていく気がする。 夢中で手を振ると、彼も振り返してくれた。 鼓動が速くなって、涙が溢れてくる。 私の心のシャボン玉がきれいにはじけた。 この思いは伝わるのかな? 私はそれに駆け寄っていく。 ひまわりはしっかりと上を向いている。 私も丘を駆け上がる。 夏の空は、きれいで澄んだ、濃い青だった。 。。。。。。。。。。。。。。。。。。 長いのに読んでくれてありがとうございました。 感想をいただけたら、嬉しいです。