思いやり。
「はぁ。」 口からため息が漏れる。 私は木村みお。10歳。私は仕事をしている。子役の。 私が所属する事務所は、日本でも大きい方。 私はこの仕事が好き。CM、ドラマ、映画など、いろいろなところに出られるから。 でも、周りの人から特別な目で見られるのはいやだな。 自分で言うのもなんだけど、私はけっこういろんな番組とか映画とかに出ている。主演も何度もやったことがある。他の数人の子と音楽ユニットも組んでる。 だから、こっちが知らなくても向こうは知ってる、なんてよくある。 道を歩いているだけで、みんながヒソヒソ話を始める。 「あの子みおちゃんよ」「年に何千万もかせいでいるのよ」「また主演やるんですって」って。 まあ、こういうお仕事だからしょうがないんだけどね。 私は好きでこの仕事をやっているのであって、収入や人気なんて気にしてない、のにな。 家に帰って宿題をすませると、今度のドラマの台本をながめる。このドラマもがんばろう。 ☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆ 数ヶ月後。 ドラマがもうテレビで始まった。 早速学校の友達が話しかけてくる。 「すごいね」「うまいね」。 でも、必ず親友の心露(こころ)だけはその輪に入らない。 私にとっては少し気が楽だ。でもなぜ? 心露に聞いてみることにした。 「私が子役の仕事で活躍すること、ねたましかったりする?」 すると心露はこう言った。 「ぜんぜん。そんなことないよ。みおが活躍してること、すごく良いことだと思うよ。でも、みんなにいろいろ言われてるから、みおが窮屈かなって思って。私は、みおが安心できる場所を作りたいんだ。」 ああ。私のことをわかってくれてる人がいた。 この子は、心露は、なんてすばらしいのだろう。 勉強ができることよりも、仕事で大きな業績をあげることよりも、ずっとすごいことだ。 友達を思いやれる人。 「ありがとう、心露。ありがとう!心露の言う通り、私、ちょっと窮屈だったの。これからもずっと親友でいてね!」 そう言って2人は、柔らかく微笑み合う。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー この話は、フィクションです。 どうでしたか? 感想待ってます!