【短編小説】お兄ちゃん
今日は2月3日。誕生日会の日だ。 でもお母さんの誕生日は10月、 お父さんの誕生日は3月、 私の誕生日は8月だ。 なら、誰の誕生日会なのかって? じゃあ、10年前の事から話さなきゃ。 私は自分の名前が嫌いだった。 女なのに「清(せい)」だなんて。 友達の千穂ちゃんとか、彩乃ちゃんのようにもっと可愛らしい名前がよかった。 でも、5歳の頃だったか6歳の頃だったか…ある日お母さんに聞いたんだ。 「ねえおかあさん。なんでわたしはおんなのこなのに「せい」ってなまえなの?もっとかわいいなまえがよかった!」 「…そうね。そろそろ話してもいいかしら。 あのね、清ちゃん。貴方にはね、お兄ちゃんがいたのよ」 「いるわけないよ。わたし、ひとりっこだもん。おかあさんもそういってたでしょ?」 「いたのよ。貴方が生まれる3年前の2月3日、出産したの…でもね、死産だったの。死んじゃった状態で生まれてきたのよ。」 「ほんと?」 「本当よ。それでね、お父さんとお母さんはその子に「清」って名前を付けようとしてたの」 「わたしとおんなじなまえだ」 「だからね、貴方に、清くんの分まで生きて欲しくて…その名前を付けたの。 嫌だよね。清くんが死んじゃったのはお母さんのせいなのに。ごめんね…」 お母さんは泣いていた。 「いやじゃないよ。」 「…どうして?」 「だって、おにいちゃんのなまえだもん。 おにいちゃんがいないのはかなしいけど、 さみしくはないよ。 おにいちゃんはきっとわたしたちをみまもってくれてる。おにいちゃんとわたしはなまえがおなじだから、きっといっしょにいられる。おかあさん、おんなじなまえをつけてくれてありがとう」 「…そう言ってくれてありがとう、清ちゃん。」 その日から、私がお兄ちゃんの分まで生きてやろうって思ったんだ。 私は今年16歳になる。 お兄ちゃんは生きていたら19歳だ。 今日は2月3日。我が家は、毎年この日に誕生日会をするんだ。お兄ちゃんの誕生日会を。 写真も私物もないけど、私のお兄ちゃんは確かにいるんだ。今も私たちの事を見てくれてるんだ。 ケーキのロウソクに火をともして… 「「「ハッピーバースデー!」」」 おわり ここまで見てくださりありがとうございました!
みんなの答え
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ぐすん・・
いいお話でした。 そんなことが実際に起きていると思うと、悲しいけれど、それをよく考えることは 大切だと思います。
無題
感動ですね。 とてもいいお話だと思いました。
面白い!
とっても面白かったです! いいお話でした……グスン