砂漠
ふと辺りを見れば、砂の雪原が広がっていた。 あたりには何もなくて、乾いた風が僕の喉を焦がした。 水。水。水。潤いを求めて歩き続けて、ようやく一本の木の下に見つけた。 バケツの中の水を手ですくう。冷たい感触が手を伝い、喉に入り、全身にしみ込んだ。 ああ。もっと。もっと飲みたい。そう思って僕はバケツごと持ち上げた。 あの冷たい感触を待ちわびた僕はバケツの淵を口へ運んだ。 いざ。飲み干せ。そう体中の細胞が僕に告げた。意を決して、バケツを傾ける。 ーーーーーーーーーーえ? 液体が入っていた面影はなく、代わりに微笑む君の顔が底にうつっていた。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 私の横で眠るあなたの首から一滴、また一滴と汗がしたたり落ちる。 ああ、今日も「あの夢」を見ているの。ああ今日も、飢えているの。 貴方の中に夢を映し出すのはとても簡単。 ずっと水が飲めないでしょう。『そこ』で私は微笑んでいるんでしょう。 貴方は永遠に満たされない。 私の愛を求めて。私の心を求めて。欲しても。飲み干すことはできない。 飲み干してしまったなら、あなたは私を置いていく。『そこ』にいる私のように微笑んで。 だからね、あなたの喉は潤せない。ごめんね。私に堕ちたままでいて。 ずっと飢えていて。 ああ、飢えた貴方は美しい。 今日も、愛しているわ。