もう少し、
「…雨か」 しとしとと、雨が私の頭を打ちつける。 あいにく、私は傘を忘れてしまっていた。このままでは、新しい制服がびしょびしょになってしまう。 だけど、それでもいいかな。 少しでもお母さんに心配してもらえるだろう。 「…えっと、飯田さん、だっけ?濡れますよ?」 「……え、っと」 「ああ、サラダです」 サラダ? 「え、野菜?」 「さ、更田ですよ!更にの更に、田んぼの田です」 ああ……はいはい、更田さん、……? 更田さんは、そんなにイケメンとは言えないがメガネの似合う好青年だった。 「……ん、大丈夫。雨宿りも、ちゃんとするから」 「…そうですか。でも、僕にはまだ何かを抱えているような気がしますが」 少し、驚いた。 昔から顔に出ないと言われていた私が、そこまで顔に出ていたのだろうか。 「ここじゃ濡れますから、あっちの雨宿りできそうな公園にでも行きますか」 そう言うと、更田さんは私の返事も聞かずにさっさと行ってしまった。 ここで、少し私の話をしようか。 私ー飯田 芽依子は、親の期待を背負ってきた。 私に求められることは、頭の良さ、お手伝い、わがままを言わない。 私には姉がいて、その姉は私に求められていることを持っていなかった。 その代わり、愛嬌に甘え上手、世渡り上手という私に無いものを持っていた。 それ故に、私はいつも放ったらかしだった。 愛を知らずに、この13年間を生きてきた。 表情に出ないと言われるのは、このことが原因だと思う。 「……そうだったんだ」 更田さんに話し終わったら、気づいたら雨は止んでいた。 「ごめんね、こんな重い話しちゃってさ。気にしないでね」 なんで話したんだろう?自分でも不思議だ。 じゃあね、と言って離れようとした。 不意に制服のニットの袖を掴まれたのは、そのときだ。 「……あ、の」 「ごめん、いきなり。でも、飯田さんの力になりたい」 「え?」 「なにかあったら、僕と話さない?僕も丁度、話し相手が欲しかったんだ」 ウィン・ウィンの関係というのは、このことだろうか。 考えないでも、「YES」は自然と口から出た。 更田さんー零くんは、私に真摯に向き合ってくれて、ときには柔らかくて暖かい言葉をくれて、ときには金属のように硬い言葉をぶつけてきてくれた。でも、それはいつも正論だった。 気づいたら、零くんに惹かれていた。 きっと、零くんもー自分が言うのはおこがましいが、私に惹かれていると思う。 だけど、 なんとなく、この関係でいいんだ、と。 そう思う。 これ以上の関係になると、なにかが壊れると思うから。 壊れるのは、友情という壁なのか、束縛したいという気持ちなのか、 それは、それ以上の関係にならないとわからない。 わかりたい気持ちもするが、それは相手を傷つけないで済むのか。 それがわからないと、私は素直になれない。 だから、 だから、もう少し、知らないふりをしようか。
みんなの答え
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お-!!
12才でこの表現力…!作家になれるよ!! また書いてね~っ!!