未来を知る者
私は1つだけ、未来を知っている。 寒い2月の日、若い紳士と幼い金髪の少女に教えてもらった。 なんでも、金村アサヒというイケメンと私が付き合い、6月に自転車デートをする。すると金村アサヒは帰りに大型トレーラーにひかれて脳死になってしまうそうだ。この映像を私は頭の中で見た。最初は信じなかったが、金村アサヒと進級したら同じクラスになるという予言が当たり、信じずにはいられなくなった。 新シ教室に入った私、アヤカは、金村アサヒとはなるべくかかわらないことにした。 進級してから、ニ週間がたつ。あれだけ関わらないと言っていたが、だんだんアサヒの良さがわかってきてしまった。それに、友達の話にアサヒが出てくると、"私はこれからアサヒと付き合うんだから。あんたたちとは違う"と思ってしまう。 そしていつの間にか、どうすればアサヒが事故に合わずにに付き合えるかを考えていた。 自転車デートをしなければいい。とにかくアサヒと付き合って、優越感を得たい。みんなと私は違うということを知らしめたい。 そう考えるようになった。 5月、猛アタックしたおかげか、アサヒから告白された。うれしかった。周りからは羨ましがられるし、いい気分だ。再来週にはデートに行く。もちろん自転車は使わないし、まだ6月でもない。たぶん大丈夫だろう。とても待ち遠しかった。 毎日デートのことを考え、ついにデートの日になった。洋服もしっかり選んだし、メイクもバッチリだ。待ち合わせ場所につくと、もうアサヒがいる。かっこいい。私達は映画を見たり、おそろいのものを買ったりした。とっても充実していた。初めて手もつないだ。幸せだった。 しかし時間はきてしまう。離れるのは悲しいが、家に帰ったらLINEしようと思う。家まで送っていこっか?と言われたけど、親に見られたら恥ずかしいからここで別れることにした。 「オレ、こっちだから。じゃあね、アヤカ。」 「うん。バイバイ。」 お互いに手を振る。とても幸せだ。アサヒの後ろ姿を少し見送る。少しアサヒが小さくなったところで、私は歩き出す。 そして、ふと、思う。 "あれ?ここ、どこかで見た気がする…デジャヴかな……?" そして私は、さっき自分の横を見覚えのある大型トレーラーが走っていったのを思い出す。 「え、うそ…」 ここから先は、ほとんど覚えてない。 あの2月のときのことがフラッシュバックする。あぁ、そういえば付き合ってたら100%事故に合うって言ってたっけな…思い出すのが、おそすぎた…もしあそこで家まで送ってもらってたらどうなったんだろ。あ、でも付き合ってたらだめなのか… 路上に座り込んでると、誰かが呼んでくれたのか、救急車の音が聞こえてくる。自分の、罪の音のようにも聞こえた。 「ああ、やっぱこうなっちゃいましたね、センパイ!」 「この山内アヤカは自分のマウントをとるために金村アサヒと付き合ったようなものだからな。人間の汚い欲がよく見える。それに好きだったとしても、こうなるのがわかってたら付き合わないのが愛だ。自分の幸せより相手の幸せを取ることができなかったんだな。」 「やっぱ適当に未来教えてあげる人、選んじゃだめなんですよー!」 「フッ、やっぱそうだな。次はちゃんと選ぶとするか…」 「それがホントの死神としての役割ですよー!センパイ!」 宙に浮いている金髪の少女とスラっとした紳士は誰も目に入ることがなかった。 彼らが何者なのかは、彼らにしかわからない。わかっているのは死神という分類だということのみ……
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
死神
話が分かりやすくて面白かったです! いい作品ありがとうございます!!