アイツ
「す…す…………? ね! ゆーた! 聞いてんの?」 「ん? あー、す? なに、す、って?」 だ、だから。 告白しなきゃ、いけないんじゃないの、あたし。好き、って言わなきゃいけないんじゃないの。あたし。しっかりしなきゃ。 手が、震える。足ももう小刻みに震えていた。 「あ、のね……」 「──うん、何?」 無垢な顔で問うてくる君には、何も分からないだろう。 「あ、ごめん。ちょっと、佐々木に呼び出されてさ。放課後教室に来いって」 「う、うん! いぃ、行ってらっしゃ……い!」 そう言って、ゆうたは行ってしまった。 うそ、違う。本当はこんなはずじゃ。 こんな予定じゃ。 ホントなら、あたしは好きってゆうたに言って、それで。それで……。 ──台無しだ。 あたしは、あたしはずっと。 佐々木さんよりもあたしはゆうたのことが好きだったのに、な。 涙がこぼれた。 お願いだから誰も私のいる裏山に来ないで。 ひっそりとそう願った。 でも。 これで、いいんだ。 「俺、佐々木のこと結構可愛いと思うよ」 そういえば前、あたしの幼なじみ兼好きな人…ゆうたはそう言った。 ゆうたは幸せをつかみにいった。 だから。 あたしも幸せにならなくちゃ。 雨が降り出した。天気予報見てきてよかった。この状況で、雨にずぶ濡れになりながら帰るなんて、多分あたしの心はもたなくなってしまう。 あたしはゆっくりと傘を開き、白い吐息を見つめた。かすかに息が震えた。 歩き出した時、あたしはゆうたの忘れていった赤い時計を拾い上げた。そして胸に抱きしめる。足はまだ震えていた。 もう、これは返してもらおう。 …あたしがあげた赤い時計。 2人の思い出を刻むはずだった赤い時計を。
みんなの答え
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すごい・・・!!
年下から失礼します! すごいです! 語彙力0な私には凄いしか言えませんが ほんっとうに凄いです! 最後に、切ない感じが出てて凄い素敵だと思います!(語彙力0ですいません)