行方不明の親友[長めです]
私の親友の花音(かのん)が行方不明になった。 周りの大人の様子がおかしい。 花音は私にとって希望そのものだった お母さんとお父さんは小さい頃に二人とも事故で失くした。今育ててくれているのは親戚のおじ夫婦。 何不自由のない生活を過ごしている。だけど何の見返りもないのに私を育てるのは何か裏がある気がして怖い。 どんなに考えても彼らは突然死んでしまった両親の代わりにはならなかった。 だから私が心を開ける唯一の相手は、幼馴染でもある花音だけだ。あの明るいひまわりのような優しい笑顔に何度助けられてきたことか。どんな事でも花音になら話せる。そう思ってた。 それなのに急にいなくなるなんて…。 今までそんなこと相談してくれたことは一回もなかった。昨日は近くの薄暗い湿った森を2人で遊んでいた。 今まで行ったことがない森の奥まで探検したんだっけ。細かく思い出そうとすると頭がズキズキ痛くなる。 今朝はおばさんの泣き声で目が覚めた。近くにはおばさんとおじさんがいた。花音が行方不明になったことはおじさんが教えてくれた。おばさんはただただ泣くだけで何も喋ろうとしなかった。 何か隠していることだけが分かった。 何を隠しているのかは分からなかった。 あの子がいなくなってから世界はずっと灰色のまま。 _____________________________________________ 「先生、それは本当ですか!?」 思わずからだを乗り出して聞いた。 動揺を隠せない私を隣に座っている夫は静かに手でおさえた。 「お気の毒ですが本当です。お嬢さんは頭部への強い衝撃により、人を認識できなくなってしまうでしょう」 医者は淡々と話す。 「正しくいうと最も彼女がこの世で信頼している人のことが」 医者が言った{最も彼女がこの世で信頼している人}が誰か私たちには分かっていた。 夕方泣きながら、ぐったりした彼女を私たちの家に連れてきたあの子だと。 崖から足を踏み外し落ちたことを彼女には伝えないことにした。きっとパニックになってしまうだろう。もっとひどいことになるかも分からない。目立った外傷は他に奇跡的にないとはいえ、できる限りまだ安静にしてほしい。私たちは彼女を自分の子供のように思っているのだから。 あの子に医者が言っていたことをそのまま伝えるとただ「会ってもいいですか」と言った。 あの子にとって彼女は大切な親友だった。無事だったことへの喜びと彼女に忘れてしまわれる悲しみ、さまざまな感情が複雑にいり交じっていたのだろう。 その一言だけだった。 ____________________________________________ おかしなことかもしれないけど 私には聞こえた気がする。 朝起きたときおばさんの泣き声に混じってあの子が悲しそうに泣いてた声が。 ねぇ花音なんで泣いてるの。 笑ってよ。 ---------------------------------------------------------------------- 上から「私」目線、「叔母さん」目線、「私」目線となっています。 感想やアドバイスは タメ、辛口なんでもokです。