恋の残滓(ざんし)
「芽衣子、芽衣子ってさ、3組の勇君のこと好きなん?」 友達の萌にそんな事を言われた。 「ちゃ、ちゃうよ。好きなわけあらへん。」 嘘。嘘だ。本当は好きなんだ。 「よかったぁ。私勇のこと好きやってん。好きな人被ると嫌やからな。」 「そ、そうやね。」 萌も好きなんだ。でも好きじゃないっていっちゃったからなぁ、なんて考えてると萌が言った。 「私な、明日勇に告ろうと思っててな。その......応援して欲しいんよ」 その瞬間、胸がキュッと絞まった。 「う、うん。お、応援するよ。頑張って......」 揺らぐ気持ちを何とか押さえつけ、言った。 そしたら萌は「ありがとう!」なんて言って喜んでくれた。 私は正直、応援なんて出来ない。 友達なのに。 次の日、萌は放課後に勇を呼び出して告白した。 私は影で見ていた。気になってしまったのだ。 結果は 「もちろん。よろしくな。」 だった。 その日の夜に電話で萌が興奮したような声で報告してきた。 「あのな、あのな。私、勇と付き合う事になってん!」 しってる。しってるよ。そんなこと。 聞いた瞬間、私はどんな顔をしたのだろうか。 素直によろこべなかった。 それでも震えた声でなんとか、 「よかったじゃん。おめでとう」 お幸せに、そう言おうと思ったのに。 生暖かい、塩辛いものが頬を伝った。 泣いていた。 とめようと拭ったけど止まってくれなかった。 萌は電話越しに「なんで芽衣子が泣くんよ。」ってあせってたけど私はそれどころじゃなかった。 なんとか涙を止めて、「だいじょうぶ、嬉しかったの」また嘘をついた。 私の恋はあっさりと幕を閉じた。残り滓だけがあった。 少し話した後電話が切れた。 しばらくぼうとした。 この恋の残滓はどこに捨てればいいのだろうか。