余命一日
僕は、数年前からやっている、あるバイトがある。 それは「死神」だ。どうも霊感の極めて強い人だけができるバイトらしい。もっとも、僕は人間だし、学校にだって行っている「周りから見れば」普通の中学生だ。 死神は人からでる「オーラ」で、もうすぐ死ぬんだ、という人を見分ける。離れていてもどこにいるかも大体わかるのだ。 ある朝、僕はいつものように学校へ行った。下駄箱を置いて、階段を上がる。廊下を歩いている時、異変に気づいた。 誰かからオーラがでている。 こんなに身近にオーラが出たのは初めてだ。僕は動揺していた。 クラスメイトだった。教室には彼女しかいない。 その女の子は小さい頃から病弱だった。無口な僕は女子と話すことは滅多にないが、彼女は違った。愛想のない僕と話してくれた。彼女は僕と同じでいつも一人だった。病気で学校を休むことも多かったからだ。でも話しかけてくれたことは、僕にはとても嬉しかった。 僕はますます動揺した。クラスメイトが死ぬかもしれないのに、どうしていいかわからない。 「おはよう」 女の子が笑顔で言った。気のせいなのかもしれないが、切なそうな笑顔だった。 「おはよう」 震えた声だと言うのが自分でもわかった。今の僕はただの中学生だ。今は死神じゃない。死神でも、死ぬ人を助けることは出来ない。それは絶対的な運命で、誰にも止められないことなのだ。 自分が嫌になった。こんなに自分が何も出来なくてちっぽけだったことにも気づいた。こんなに悔しかったのも初めてだった。 僕は、このことを正直に話すかすごく迷った。自分が死ぬことを知ったら、どんな気持ちだろう。 結局僕はそのことを言わなかった。 言ったところでできることなどない。 自分が死ぬ恐怖に怯えて死ぬくらいなら、知らない方がいい。でも、それはわかっていても辛かった。 彼女の余命は、長くてあと一日。 彼女のオーラは時を刻む事に強くなった。それを見るたびに涙が出そうになった。僕は一日、そばにいた。普段話さない自分のこともたくさん話した。僕と話すことで少しでも笑顔になってくれれば。少しでも「幸せ」だと思ってくれれば。 僕にできることはそれだけだから。 夕方、仕事が届いた。場所は病院だった。道で倒れて、病院に搬送されて亡くなったらしい。今日だけは、この仕事を「やめたい」と思った。 そこにいたのは、彼女だった。僕はこれまでにないほど泣いた。涙が止まらなかった。 「泣かないで。もうすぐ死ぬんだってことは、自分でも感じてたんだ。死神だってことは知らなかったけど、それを感じてたんでしょ?きっと。」 彼女は落ち着いてそう言った。 「何も出来なくてごめん。知ってたのに、助けられなくてごめん。」 泣きながら僕は言った。 「ううん。今日話してくれただけで嬉しかった。楽しかった。ありがとう。」 涙がとまることは無かった。でも、僕は笑顔で彼女を見送った。 「死神」ではなく彼女の友達として。
みんなの答え
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好き!!
こんにちは!雪見大福です 良き!!この小説超好み! 最後の『「死神」ではなく彼女の友達として。』っていう文好き! 新作楽しみにしてます♪ それでは!