ランドセル ~出会いと別れの春~
今、僕のいる部屋には沢山の子連れがいる。子供はみんな、5~6歳ぐらいだ。別に珍しい事ではない。この時期にはよくある事だ。いわゆるラン活。僕はそのラン活の商品の一つだ。黒色で新品みたいにピッカピカ(新品だから当然だけど)。横には大きな星と小さい星がたくさん付けられている。まあ、男の子用のランドセルだ。でも、僕は男の子のランドセル=青色って感じがする。現に青色のランドセルは次々居なくなっている。黒色である僕が背負ってもらえるわけない。 そう思っていた時、小さく暖かい手が僕を持ち上げた。 「うわー!このランドセル、かっこいいー!ねぇーママ!僕このランドセルがいい!」 かっこいい…そう言われたのは初めてだ。人間にとっては何気ない一言。でも、僕たちランドセルはそう言われるのがとても嬉しいんだ。 「ちょっと勇気?!さっき、別の青のランドセルが良いって言っていたじゃない!」 この子の事を「ゆうき」って言った… という事は、僕を持ち上げてくれてるのはゆうき…君で、あの人はゆうき君のお母さん? 「えっー!いいじゃんママ!僕これがいいの!」 ゆうき君は必死にお願いしている。僕もゆうき君と一緒にいたい。この子なら、僕を大切にしてくれそう。そんな気がした。 「…はぁ。しょうがないわね。いいわよ。そのランドセル、大切にしなさいよ。」 ゆうき君のお母さんは笑顔で言う。やった!僕は心の底から嬉しくなった。 「やったー!ママ、ありがとう!ランドセル大切にするよ!」 ゆうき君も嬉しそう。よろしくね。ゆうき君。 それからしばらくし、桜が咲き始めた頃、僕は初めてゆうき君と一緒に学校へ行った。ゆうき君の背中はあったかい。緊張しているからだろうか?… まあいいか。僕はゆうき君と一緒にいられるだけで嬉しい。 それから僕は、ほぼ毎日ゆうき君と学校へ行った。とても嬉しかった。黒色の僕に、こんな未来が待っていたなんて。 ゆうき君の背中はいつもあったかい。晴れていても、曇っていても、雨でも。僕が雨に濡れた時は丁寧に拭いてくれる。きっと、そういう優しさがゆうき君の背中を温めているんだ。 僕とゆうき君が出会ってから6回目の春の日、ゆうき君は僕と一緒に学校に行ってくれなくなった。 それからしばらくして、ゆうき君はいつも同じ服と別のカバンでどこかへ行くようになった。カバンにはいつも教科書っぽい物を入れている。どこへ行っているんだろう。友達の家に行ってる訳では無さそうだし… 夏休みにしては長すぎだし… それとも僕は飽きられて、ランドセルじゃ無い別のカバンに変えたのかな… しかし、僕はまたゆうき君と一緒に学校に行ける事を信じて待っていた。 ゆうき君が僕と一緒に学校に行かなくなってから3回目の春。僕はあの時のゆうき君の背中の温もりを、すっかり忘れていた。 いつの間にか、僕の頭にはうっすらとワタが乗っていた。でも、僕の頭に乗っているワタは白じゃなく灰色だ。何で色が違うんだろう。そんな訳の分からない事を考えていて、ゆうき君が部屋に入って来たのに気付かなかった。ゆうき君は何を思ったことか、いきなり僕を掴んだ。あの時とは違う、大きくて冷たくなった手。何をするんだろう。僕と久しぶりに学校へ行くのかな?しかし、ゆうき君は教科書も何も詰めずに僕を連れて行く。 しばらくして、僕は玄関の近くに置かれた。靴でも履くのかな?しかし、ゆうき君からはカサカサと音がする。明らかに靴を履く音じゃない。 しばらくして、また僕を掴む。さあ、今度こそ学校にいこう!そう思ったその時、ゆうき君は僕をどこかへ投げ入れた。カサカサ、カサカサ…さっき、ゆうき君から聞こえた音がする。 …ゴミ…袋…?ようやく気づいた。僕はゆうき君に捨てられるんだ。ゆうき君はすぐにゴミ袋の口を結ぶ。僕は外に出られなくなった。 そうか…もう、ゆうき君とお別れか… あっという間だった。一緒に学校へ行っていた事が懐かしい。今でもゆうき君が初めて僕に言ったことは覚えている。 「かっこいい」 特に意味も無く言ったんだと思うけど、僕は本当に嬉しかった。 …もう一度、聞きたかったなぁ… ありがとう。ゆうき君。僕はゆうき君のこと、忘れないよ。 見てくださってありがとうございます! 相変わらずネーミングセンス無いなぁ… 他にこんな題名どうかな? 以上、けっしーでした!
みんなの答え
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なるーほどーねー
私も卒業してランドセルが邪魔だったからお母さんに言ったら屋根裏に行った...屋根裏に行くなら自分でもっとけばよかったー
なるほど…
6年になり、卒業したらランドセルを使わなくなりますね… さっきランドセルを殴った僕を今殴ってますww 物を大切にしようと思いました。 題名はこのままでいいと思います。 書いてくれてありがとうございました。