それから二人は
「アメリカに留学する」 大学生の翔(しょう)は同じ学科の彼女の美千代(みちよ)にそう言った。美千代は一瞬悲しくなったが、すぐに笑った。 「そう。翔、英語、得意だもんね。頑張ってね」 「ありがとう。俺は起業したいんだ」 「そう」 そこで、翔が乗る電車が来た。二人はお互い、手を振り合い、別れた。 すぐに翔がアメリカに旅立つ日が来た。 美千代は翔に航空の駐車場で会った。中には翔の家族がいる。彼女程度が家族に会うなど畏れ多くてとてもじゃないが美千代には無理だった。 「じゃあね」 そう言う美千代を翔はぎゅっと抱きしめると耳元で囁いた。 「いつか…」 そして、翔は美千代を離すと航空に入った。美千代は翔の言った言葉の意味を考えていた。 美千代は耳を通る方言に浸っていた。 「だもんで」 「だに」 「いかい」 美千代は関西の大学に通っている。ずっと関西弁や標準語を聞き慣れているせいか、地元の方言が懐かしく思えた。帰省して良かったと思った。 翔のいつか…。あの時、翔はなんと言いたかったのだろう。 翔との日々が蘇る。翔と私は離れ離れになった。きっと私と翔の歩む道は永遠に交わることはないだろう。翔は社長、私は市役所で働く公務員。だが、その時、美千代は気がついた。あの儚く消えてしまいそうな当たり前の毎日。あれこそが大切だった。過去には戻れないけどあの二人が共に過ごした日々の事実は消えない。 美千代はふっと微笑した。 当たり前の毎日こそが大事なら、二人が共に過ごした日々の事実は消えないなら、私は翔が夢を叶えるべく応援するべきだ。 「翔、頑張ってね」 美千代が漏らした想いは静岡弁に掻き消された。 翔はベットに横たわった。 美千代の顔が脳裏をよぎる。 あの、いつか…は叶うのだろうか。いつか再会できるだろうか。いつか、いつも通りの日々が戻ってくるだろうか。 夢を追いかけたいから留学を決めた、美千代と会えないことなど覚悟していた。美千代が進む道と自分が歩む道が違うことなど理解していた。そしてそれがずっと一方通行、平行であり、かち合うことなどないと分かっていた。だが、思ったより過酷だった。俺に出来るのは美千代の夢を応援することだけだ。美千代が夢を叶えられるように、実現できるように。 美千代の夢が叶いますように。 今は辛いけど、挫折しそうになったら、俺、私のことを思い出してね。 俺たち、私たちが出会ったのも離れたのも何かの運命。それを理解するための今なんだ。 だから今は少し辛いけど動き出そう。 待っていても明日は来ない。待っていても夢は叶わない。 素敵な未来は向こうからはやって来てはくれないから。 挫折しそうになったら俺、私のことを思い出してね。 ずっと遠くから応援してるから。夢が叶うように祈ってるから。 そしていつか笑って再会しよう。絶対に。
みんなの答え
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会えるといいな!
ど一も!! 少し悲しいけど2人が会えるといいな! 短文ですが、これで。 では!