時間制限の恋
私、「ぴあ」はロボットなの。 二十三世紀の新型人工知能ロボの最新版。 ほぼ「ヒト」という動物みたいな感じで、区別がつかないほどらしい。 自分ではわからないけどね。 ぴあはヒトと同じことができる。 学校に通い、働いて、ご飯を食べて、お風呂に入って、寝て。 友情、恋愛、家族。 本物の「ヒト」たちには、わたしがすごいらしいけど わたしにとっては、本物ってすごいし羨ましい。 いいなぁ。 ある日、わたしはいつも通り、親友で、新型人工知能ロボの同期、「ぴい」と「ことり小学校」に登校した。 すると何やら、ヒトがたくさん集まってた。 クラスの天才、空くんが、怪我した女の子をお姫様抱っこしていたのだ。 まわりからは「すごい~」「優しすぎる~王子様~!」「何あれ、わたし、やって欲しいのに」 とか、色んな声が聞こえる。 わたしは、空くんってかっこいいな、って思った。 勇気があって優しさがあって。 その時、わたしは恋しちゃったの。 機械で動かされてる心臓がドクドクなってる。 わたしのカラダ、なんか変……。 その日からわたしは、空くんを目で追いかけるようになった。 何してるのかな。 好きなものはなんなのかな。 意外と努力家なんだなぁ。 空くんの好きなヒトってどんなヒトなんだろう。 とか、そんなことを考えながら。 考えてるだけで、カラダの「しあわせメーター」が上がってる。 ああ、幸せ。 ずっと恋してたい! でも、その時は突然やってきたのだ。 わたしのカラダを監視している、わたしの母「ロボ組立機械」が わたしの不具合を発見したのだ。 次の日曜日に一回分解して、修正するらしい。 でも。 でもね。 分解したら、これまでの記憶がなくなっちゃうの。 感情とか、そういうのも。 名前も変えられちゃうんだって。 住む場所も、学校も変えられちゃう。 「違うロボ」っていうことにされちゃうの。 嫌だ。 嫌だ。 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ…。 絶対にいやっ! 空くんに会えなくなるなんて。 わたしがわたしじゃなくなって。 記憶も名前も全部1からで。 これまで過ごしてきて積み重ねた、努力も経験も感情も友情も 全部なくなっちゃう。 わたし自身、空くんとか、養子としてわたしを引き取った、ママちゃんとぱーぱのことも忘れちゃう。 そんなの やだやだやだやだやだやだっ! でも、どうしようもないんだ。 悔しい。悔しい悔しい悔しい……。 【ーーわたしがわたしでいられるまであと1日。ーー】 今日は いつも通り、ぴいと学校に行って 空くんを見つめて ママちゃんとぱーぱが作ってくれた、美味しい美味しい美味しいお弁当を食べた。 でも今日はちょっと違うこともした。 空くんに「告白」っていうものをしたの。 結果は「NO」だった。 「ロボットが彼女は…ちょっとなぁ。」って言われた。 だけど あんまり悔しくなかった。 悲しくなかった。 涙が出なかった。 それは多分、大きすぎる感情を、監視機械が制御してるからだと思う。 わたしがわたしでいられる最後の日は、こんな感じだった。 ピーピーピー その日の真夜中。 わたしはいまボックスの中に入れられて運ばれてる。 もうあと数分でわたしがわたしでいられなくなる。 いまわたしが もし最後に、誰かに一言いうとしたら 「ヒトっていいなぁ」って言う。 ヒトだったら 不具合修正のたびに、 違う世界に行って 名前も変えられて 記憶も消されて。 そんなことないのに。 もし、二言いってもいいんだったら ヒトに 「ヒトとして生まれた君は幸せ者なんだよ。その命と人生は宝物だね。」って伝えるかな。 わたしは 普通のヒトに生まれたかった。 普通のヒトとして見られたかった。 なんでわたしはロボットなんだろう。 「少量」の涙がでてくる。 わたしが、わたしという存在がいなかったことにされたその時、 これまで観測された雨量を大きく上回る、 大雨が降っていた。 【数時間後】 あたしは 「あたし、みあ!よろしく!」 って言えるための訓練をしていた。
みんなの答え
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ううう…
切なすぎて……。ジーン……。 本当に切なすぎて……。 ですが、このお話を通して あーぴぃさんが伝えたいメッセージは受けとりました! 「命と人生は宝物で、とてつもなく大切」 ということ、心の中に留めておきたいです! あーぴぃさんの作品には いつも大切なメッセージが秘められていて すごく素敵だなと思います! これからも頑張ってください!応援してます!