片思いが成就する確率
「……ま、だよねぇ」 一人きりになった靴箱で、頭を少しかきながら呟いた。もちろん、誰に話しかけたわけでもない。ただのひとりごと。 ほんの十数分前の言葉が、頭の中で鮮明に蘇る。まるでそこに君がいるみたいに、声だけじゃなくて、表情や仕草も思い出してしまう。 「好きです」 「ごめんね」 まとめればたった八文字のやりとりだ。だというのに、こんなに胸が痛いのはなぜだろう。 理由は簡単だ。それほど君のことが好きだったから。世界中で、なんて言葉を使ってしまってもいいくらいに、大好きだったから、君の声が刺さって痛い。痛くて、痛くて、泣き出しそうなくらい。 それこそ「世界」で、こんな風に恋が成就しない人はどれくらいいるのだろう。 どっかの誰かが好き合ってたり、付き合ってたりする裏で、人知れず涙を流した人はどれくらいだろう。 辛い片思いが、成就する確率は。 ……そんなの、統計とか取ってるわけじゃないし。脳内に横槍を入れる自分。考えても自己嫌悪に陥りそうなので、靴を履き替えて歩き出した。 それでも誰かと結ばれて、家族になる。私がそうやって生まれてきたように、きっと私もいつかは誰かと結ばれて、家族になる。その「誰か」は、君以外なんだろうか。 これから、君以上に誰かのことを好きになるのだろうか。 二十年も生きていない私には、いくら考えても答えは出なかった。 それに私の心には、まだ君が住み着いている。十何年も先のことを考える余裕はないみたいだった。 こんなよくある失恋話の主人公である私には、帰り道に虹がかかるサプライズも、大きな夕焼けが照らしているなんてこともなかった。あくまでよくある平日の放課後だった。ちょっとそんなのを期待していた私を、歩道がクスクスと笑っているようで恥ずかしかった。 だからせめて、まるでなんでもなかったかのように歌を口ずさみながら帰る。君も好きだと言っていた、あの失恋ソングを、下手っぴなハミングで。 こんな話でよかったのかな……? ちょっと反省中。 恋ってみんながみんな叶うようなものじゃないんですよね。きっと幸せな告白の裏に隠れて、こんな苦い思い出を持っている人もいる。現実って難しい。
みんなの答え
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スゴい!
めっちゃ面白かった! 失恋の痛みが伝わってきた!