飛べなくなったてんとう虫
てんとう虫は、恋のキューピットとも言われています。知っている人もいるのではないでしょうか?でははじまりはじまり。 「あっ!てんとう虫だ!」 男の子が私を拾った。 「あれ?羽折れてないこのてんとう虫。あれ?踏まれてる!」 そう、折れてるんですよ。踏まれたんですよ。力尽きて死にそうなんですよ。だから楽にさせて下さいよ… もう私はすぐ死ぬ。虫は一生が短いんだから。死にたくないともがいてもいつかは死ぬんだから。 人間も同じでしょう? そういう目で私は男の子を見つめる。 すると、 「可哀想だね…」 可愛らしい声がした。 あぁそうか。男の子はこの女の子が好きなのかな。 「う、うん… たすけてあげたい。」 それなら世界中の虫を助けたいと言っているものではないか。人間にとって、虫はきっと、ただの塵でしかないのに。 その時私に激痛が走った。 あぁもう私は死ぬのか。走馬灯が見えたよ… 「私たちてんとう虫は人々の欲を叶えるために生まれてきました。だからあなたも人の役に立ちなさい。他の虫や、いいえ、自然は全て人間を支えているのです。」 そうだね…でももう無理なんだよ。 「死んじゃった」 「うん」 男の子の手のひらにのっているてんとう虫を見て、女の子もその手に手を添える。 「虫っていっぱいいるよね。自然の掟に逆らうことはできない。」 その言葉を聞いて男の子は (あれ?この女の子、虫嫌いじゃなかったっけ?) と思う。女の子は男の子にあわせて好意を持たせようとしたのだろうか。もしくはてんとう虫を踏んだのはあの女の子なのか。どちらにしよ関係しているのは間違いない。手を添えたのは死骸を見たくなかったからだろうか。