秘密
「というわけで怜花(れいか)を見つけたら通報、お願いね」 美弥(みや)のクラスメイトの早樹が殺人を犯した。 怜花の友人の美紗(みさ)の父は県警のナンバー2らしい。美弥は美紗に頷いた。美紗が去ると、早樹(さき)が溜息をつきながら近づいてきた。 「通報するもなにも警察がとっ捕まえるくせに。国民の情報、丸裸だよ。なんせDNAは警察が持ってるんだから」 「怜花が殺人を犯すなんてね。あんな清楚そうな美少女が」 「美弥だって美少女だよ」 「早樹の方が綺麗だよ」 美弥と早樹は自分たちが怜花と同じ美少女枠に入れられていることを知っている。だからと言って高飛車な振る舞いはしていないが。 怜花はフェンスをパルクールのツーハンドボルトで飛び越えた。 最も仲が良かった塾の友人、美優(みゆ)にも言っていなかったことだが、怜花は密かにパルクールの練習をしていた。詐欺を働いた父親が警察に捕まった瞬間、怜花は悟った。警察は市民を守るのではない。職務だから、仕事だから、警察だから犯罪者を逮捕するのだと。怜花は警察から逃れるため、ひたすら鍛えていた。 怜花は後ろから警察に追われていることに気がついていた。自分が警察に包囲されていることにも。だが、甘い。 父親は詐欺を働いていただけじゃない。自ら手を下さず、人に人を殺させていた。そんな父親から怜花は何を学んだか。 原料パルプが古紙の地図をバッグから出し、土に敷き詰める。殺虫剤を出し、地図の一枚にくるむ。ガムの銀色の包装紙を剥がしてパケットから出したハサミで切る。すると、何も知らない警察官のひとりが怜花に近づいてきた。地図を踏みしめた。その瞬間、作った仕掛けを、勢いよく土の上に転がした。次の瞬間、警官の体が燃えた。周りの警察の動きが硬直したのが分かる。怜花は口に笑みを浮かべ、近くにあった木に登り、木から木へと飛び移る。即座に林の中から脱した。 近道の街の方は通らない。防犯カメラに映ったらもう終わり。去年、通過したあの法案は防犯カメラも網羅していた。被疑者の顔のパーツ、歩き方などからたとえ百メートル、カメラから離れていても人物を割り出す。よって、カメラのない田舎を通ることになった。 美弥は早樹と別れ、下校していた。すると、屋根の上から人が落ちてきた。人はまるで、1984年に公開され、シリーズ化しているあのSFアクション映画に出てくる殺人マシンのようなポーズで地面に座っていた。2029年に作られたとされるあのロボットである。人は立ち上がり、美弥を振り返った。そこには人間そっくりのマシンが……!などではなく、怜花だった。怜花は美弥を見るなり、猛スピードで走り出した。木に登り、木からジャンプし、別の木に飛び移る。そうして、怜花は姿を消した。美弥はぽかんとしたまま突っ立っていた。 怜花は自宅の前で母を見つけた。 お母さんと叫び、お母さんにすがりついた。 「怜花」 あの男を殺したのは母を侮辱したからだった。夫は警察に捕まり、娘は警察に追われている。そんな中で頑張る母を侮辱したのは許せなかった。警察に連れていかれる前に母の顔を一目でも見たかった。 母が怜花を抱きしめた。そのとき、怜花は母から引き剥がされた。 手錠を腕にかけられる。 母の涙を見ながら怜花はパトカーに乗った。車内で怜花は泣いた。その涙は人殺しの娘でも、詐欺師の娘でもない、普通の、どこにでもいる少女の涙だった。
みんなの答え
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おー凄っ
/泣けるーーーーーーーーーーーー
Very Good!
すごくいいと思います。 何度も読み返してしまいます。 またお話作って欲しいです!!!
すごいです!
個人的には、いままで読んだ中で一番すごいと思います! とっても感動しました。 私も暇な人さんみたいな小説が書きたいです!
すごい!
なんて奥深い話なんだ! とても感動しました! 最後の一行がまた泣けるう!!! これからも頑張ってください!