愛と再会
僕には、感情がない いや、親から教えてもらえなかったと言った方が正しいだろう 僕の母親は幼い頃に家を出ていった 父親は、その一週間後に交通事故で死んだ 別に悲しくはない 父親の命なのだから 僕を易に見捨てるような愛をもっていたのだから 僕は、母親の顔を見たことがない いや、覚えてない。知らないんだ 今、僕は中学生 近所のおばさんに色々手伝ってもらっている 中学に入学して1ヶ月後 ある女性に出会った 僕よりも年上だと思うが、とてもきれいな女性だ 僕を見ると、最初は驚いたような顔をしていたがすぐ微笑んだ 今だにあの笑顔は忘れられない それから僕と女性は、帰り道でよく合うようになった 話したりはしない 挨拶を交わすだけだ それからというもの、僕は変わったと思う 感情が徐々に表れてきたのだ あの女性からは、何となく懐かしさを感じる 昔から知っているような、そんな感じが 今日もまた、同じ帰り道を通る でも、今日はなぜかあの女性が来なかった 僕は焦った 何で?どうしていない? すると突然、ニュースが流れてきた 《今日、○○市○○地区で、一人の女性が交通事故で亡くなりました》 え? そこに、その事故死した女の人の顔が映し出される その目を疑った その女性は、あの女性だった 《その女性は手に何かを抱えており、手紙などがそえてありました》 僕は、走って帰った 信じられなかった 家に着くと、それと同時に家のチャイムが鳴る 「郵便です」 「はい…」 「これ、ニュースに出ていたあの女の人のものなんです」 「あなた宛てになっていて…」 僕あて? 手紙を開く 悠人へ ごめんね 見捨ててごめんね それしか、書いていなかった 涙があふれかえってきた 何で死んだのさ まだ生きててよ 何で…っ何でっ… 貴方の、貴方の… 貴方の正体が分かるまで、生きててほしかったのに