ぶるー な すぷりんぐ
「あの」 背中越しに聞こえた彼の声。 「ちょ、」 隣に一緒に歩いてた歩香は、私の脇腹を 肘でくいくい押す。 彼女は、私の彼への好意に気づいてるからだ。 後ろを振り返ったときに嫌でも目に入った彼の姿。 無意識にも顔が火照るのが分かる。 彼は焦点が定まらず、目をあちこちに動かしている。 「そのっ、、放課後、話があるんで…… 校舎裏で、待っててください……」 ぱあっ、と顔を輝かせる歩香。 言葉を交わさずとも、彼女の思っていることは分かる。 一気に心臓が脈打ち、ドクドクと頭に響く。 「は、はい……」 震える声を、一生懸命、紡いだ。 きっと、今ほど気持ちが高ぶっているときは無かったと思う 「あ、そ、そっちじゃなくて、あ、歩香さん……」 「え」 「え……」 被った二人の声。片方は間抜けな声を、 もう片方は震えながらも動揺している声を。 「じゃ、じゃあ……!!」 そういって、彼は走り去ってしまった。 * * * 「うん、いいよ。」 嘘でしょ…… 私だけ先に帰ると言ったけども、やはり気になって気になって仕方がない。 盗み聞きしたらこの様だ。 「ほ、本当……か!?」 「うん、でもね……」 「あぁ……大丈夫だ、このことは秘密にしておく」 何を悟ったのか、付き合ったことは秘密にするから、と宣言。 そして、彼女たちの唇は重なった。 * * * 「おはよう!!」 「……」 「あ、昨日の呼び出し、大したことじゃ無かったよ!! 委員会のことだったの。だから、気にしないでね!」 すたすた、とその場を離れた歩香。 もう、あなたを見てると辛くなるから。 ばいばい、歩香。 ばいばい、私の青春__