夏、君に会うー
ー8月の中頃、「彼」は必ず私の元に来るー ミーンミーンミーン… 『はるくーん!!あーそーぼ!』 『ゆうちゃんっ!!まってー!』 8月の中頃、暑い日差しの中、2人の幼い子が遊んでいる。 その顔はどの子よりもキラキラ輝いていて、笑っている。まるで太陽みたいだ。 ミーンミーンミーン… もう、「彼」に会える季節だ。 …あれが起きたのはもう何年前か。 5年前の7月、「彼」春樹は亡くなった。十三歳という若さで。 原因は運転手の不注意による交通事故。 春樹は、私の幼なじみだった。 どこにでも居そうな、元気な男の子だったけど、人一倍かっこいいなと子供ながらに思ってたっけ。 春樹はクラスの人気者だ。沢山の参列者がいて、春樹は幸せ者だなって思った。 その1ヶ月後、8月の13日。 「優花ー?お前いつまで泣いてんだよw」 「えっ…春樹?」 私の目の前には、つい先月亡くなった春樹が立っていた。 「ここで優花に問題です。本日8月13日は何の日に近いでしょうか?」 「えっと…お盆?あっ…」 「正解~!だからね、俺、今日明日明後日は『この世』にいるんだよ。」 「周りには見えるの?」 「俺の姿は、お前だけにしか見えない。家族も友人にも見えない。」 「一番親しい人に自分の姿を見せろって言われたから、優花を選んだ。」 「…ウウッ…ヒッグ」 「!?!?優花!?なんかごめんな?」 「…しい…嬉しいに決まってんじゃん…一番親しい人が私で良いの?」 「ああ。家族も厳しいし、お前といた方が、一番気が楽なんだわ。」 「そっか。…良かったぁぁぁぁぁ久しぶりぃぃ!」 「おっおっ?やっともとのテンションに戻って参りましたか?」 「はぁぁぁい!」 そのあと、二時間ぐらい話したっけ? 楽しかったなぁ… ミーンミーンミーン… えっ?もしかして私寝た? やばっ!勉強しなきゃ終わる…( ・∇・) 14:45 8月12日木曜日 とスマホの画面には表示されている。 カリカリカリカリカリ… 「おおっ?優花さんはまだ勉強ですかぁ?」 「春樹ぃ…って春樹!?久しぶり!今日で18になったよ!」 「おめでとう!!!って大学受験生ですね?大変だぁー」 「そうだよ…むず過ぎワロタ\( 'ω')/」 「wwそうかw顔ww」 「てか、まだこっち来んのはやくね?どしたん?ついに時間感覚狂ったか。」 「…あのな?大事な話だ。そのために速くきた」 春樹が?真面目な話?何だろ… 私はゴクンと生唾を飲んだ。 「今年で、ここに来るのはおしまいだ。だから今年のお盆は最後の年、来世までのお別れだ。 …今急に言ってるから状況が飲み込めないかもしれない。でもな?死んだ奴が急にこの世に来るのは本当はあり得ないだろ?二十歳までの残り1年ぐらいでこの、『現実の非現実』から離れなきゃいけない。分かったか?」 「…うん。分かったよっ…もう来ないのね…分かったわよ…」 「俺も、昨日言われてびっくりした。詳しい事はお前が本当の大人になった時にわかる。でも、ほんとにわかるのは、『永遠の別れ』じゃ無いんだ。俺らはまた必ず会える。今メソメソ泣くなよ。」 「分かった。笑うわ!」 彼と会えなくまで残り2日。残りの日を充実させて、一生の思い出にしよっ! …そして迎えた最終日。 「この5年間、楽しかったか?俺は楽しかったぞ!」 「ふふっ私もよ?」 「生きている間に、お前に会えて良かった。って言っても幼稚園からの付き合いだけど。小学校の時に、何度お前に助けられたことか。今こうして幸せにしていられるのも優花の持ち前の明るさを感じているからだしな。 だからな?次からは俺じゃなくて、んまぁ、俺に注いでたんか?」 「うん。春樹といると楽しいんだ。現実逃避みたいなw」 「現実逃避…かwで、さっきの話の続き。次は、優花が、本当に幸せにしたい人に元気を注いでやれ。これが俺からの最期のお願い。天国で、胸を張ってこの人生は幸せだったって言ってくれよな。」 「分かった!んじゃあ、私からのお願い。 私の人生、幸せだったって言いたいから、上で応援しててよ?お願いね?そしたら頑張る。」 「分かったぞ!応援してるに決まってるじゃ無いか。 あっ…時間だ。」 見る見るうちに春樹の体は透けていく。 「ありがとう。大好きだよ。」 春樹は一瞬照れたが(そういう風に見えた)、それでも返す。 「…俺も。大好きだ。人生で最初の初恋の人だったっけw」 「…///カァァァッ」 「じゃあな。次会う時までな?」 「うん!またねっ!…」 そうして、春樹は消えていった。太陽みたいな笑顔を振りまきながら。