消しゴムがくれた幸せと悲しみと ~こちらこそありがとう~
僕の消しゴムには、自分の名前以外にも一つ、名前が書いてある。 「橘 奈優」と。 地味な僕を橘 奈優が好きなわけどこにもないのに… その消しゴムをなくしてしまった。 カバーはあるけれど…クラスの人に好きな人がバレるなんて嫌だ。 「英くん、消しゴムあったよ あともう一つお願いがあります!」 ん、僕に話しかける人がいるなんて、珍しい。 しかも奈優さんなんて。 でも、消しゴムが戻ってきてよかった 「私、橘 奈優。心友になってほしくて!いいよね!」 「…なに急に。」 「だから、私の心友になってほしいって言ってるの! はい決定ね~」 「話を勝手に進めないでくれる? 君の悪いところその1だよ」 「え~そうかあーその1って事はまだまだあるのかなー?」 「あるよ。例えば…」 「もういいから~ねーぇーいいでしょおー おーねーがーいー!」 「…わかったよ仕方ない」 「じゃあ今日は………………図書館で」 「どうしたの」 「いや、ちょっと気持ち悪くなっただけで」 「明らかに顔色悪いよ」 「…大丈夫!だよ」 ~図書館~ 図書館でも、少し気分が悪そうにしていた。 「何か隠しているでしょう」 「実は…ね 私、病気で、もう長くないらしい。 君が好きだった。だからしようと思ったことは全部しようと 思って君に話しかけ…」 橘 奈優は、そう言って地面に倒れた。 僕は、すぐに救急車を呼んだ。 次の日、僕はお見舞いに行った。 「失礼します 橘さ…」 橘さんは泣いていた。 「あ…ごめ、ん。なんでもない…の。」 「隠すの下手だね」 「…じゃあ言うよ。余命10日。」 「…」 明るい橘さんの、泣いている表情を初めてみた。 「…君は私の事をどう思ってるの」 「能天気な人だなって」 「それって褒め言葉?」 「捉え方次第。褒め言葉として言ったのだけれど。」 「じゃあ、褒め言葉としていただきまーす!」 「…でも、それだけなの? 好き…じゃない…よね、まさか…ね」 「…好きじゃ…ないよ」 それから毎日病院に行った、 10日後。 「…ありがとう、毎日。もう、時間かな…」 橘さんは、そう言って目を閉じようとする。 え…嘘だ。信じられない 「聞いてくれ。僕は君が好きだ。 ずっと前から。 君に話しかけられた時、君が想像してるより、 ずっと嬉しかった、こちらこそありがとう。」 そう言って、橘さんは空へ向かった。 笑顔だった。 大好きだよ