【短編小説】彼岸花が好きなんだ
(山無しオチ無し。人によっては百合っぽく感じられる表現がありますが友情の意味合いです) ある日のとある中学の、美術の授業の事。 只今の時期は梅雨。それ故に本日は生憎の雨で、予定していた花のスケッチは、実物を見て行うのではなく、パソコン室で画像を見て描く事になった。 パソコン室に移動し、先生の指示に合わせて早速パソコンの電源を付けては調べ始めるクラスの人達。 私______莉子(リコ)も例外ではなく、他のクラスメイトと同様に検察ソフトで調べ始めた。 「ねぇ、莉子は何の花描くのー?」 調べて初めて数分した頃だろうか。隣の席に座っている小学生時代からの親友である花恋(カレン)が私の方を軽く揺すっては尋ねてきた。 「彼岸花だよ。私、彼岸花が好きなんだ」 特に断る理由もないため、自身が使用してるパソコンの画面を見せながら答える。しかし、そのパソコンの画面に映る画像は、良く知る赤色の彼岸花ではなく、黄色の彼岸花だった。 「彼岸花……?彼岸花が好きって、なんだか珍しいね……」 困惑気味に、苦笑いを浮かべる花恋。 しかし、彼女が困惑するのは仕方ない事だ。なんせ親友が『死の花』として有名な花が好きだとカミングアウトしたからだ。オブラートに包んだ言い方なだけ温情だろう。 しかし、私は彼岸花が死の花という意味以外もあるのは知っている。そして、その意味も知っている。その意味を知ってるからこそ、私は彼岸花が好きなのだ。 そんな私は、彼女にこんな問いかけをする。 「彼岸花って、悪いイメージだけじゃないって知ってる?」 「えっ、えっと…………ん………ごめんわかんない!」 花恋は十数秒唸った後、お手上げだと言わんばかりに両手を挙げた。 「正解はね……意味、というより花言葉なんだけど……『情熱』や『独立』とか。そして……黄色の彼岸花は『深い思いやりの心』って意味を持つんだよ」 「へぇ……それって莉子にピッタリじゃん!」 優しい口調で述べては、花恋の顔はぱぁぁっと明るくなる。 「そ、そんな事ないよ……花恋ちゃんのほうが、明るくて、しっかりしてて、優しくて…… 私が彼岸花が好きなのは、花恋ちゃんみたいだなって思ってるからなんだ」 「…………!?!?」 自身を無意識のうちに謙遜しては、相手によっては誤解されるかもしれない事を平気で言ってしまう。その言葉を聞いた花恋が目を見開きながら顔を真っ赤にしてたのだが、私には何故だか理解できなくて。 「か、花恋ちゃん……?大丈夫?」 「う、うん!大丈夫っ!」 「こら、そこの二人!」 私が恐る恐る尋ねると、花恋はビクッと震えては大きな声で返事をして。その声で喋ってる事が先生にバレてしまい、注意されてしまう。 「「ごめんなさい」」 私と花恋は罰の悪そうに謝罪の言葉を述べる。すると、先生は『次は気をつけてね』と言わんばかりの笑みを浮かべては教師用のパソコンのある席に戻っていった。 その後、さすがに怒られたばかりというのもあって、花恋と話す事なく真面目にスケッチをしていると、花恋から何か文字が書かれた紙切れを渡されて。 『彼岸花ってそんな意味があったんだね!やっぱ物事の決めつけは良くないや…… それと……さっき、彼岸花の花言葉があたしみたいって言ってもらえて凄い嬉しかった!これからもずっとそう思ってもらえるように頑張るからね!』 急いで書いたのが解る、少し読みにくい彼女独特の文字で書かれたそんな言葉に、微笑ましく思う。 そして、シャープペンシルを持っては紙の下のほうの空白に数行の文章を書いては恋鐘に送り返した。 『______私も、彼岸花の花言葉にピッタリな人になれるよう頑張るから……見ててね、花恋ちゃん』
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
すごい!
日常の会話みたいな感じでよかったです。(個人的にこういう話が好きなだけ···) 何て言うか、微笑ましい話だなぁと思いました! 空白なんかの使い方も上手で読みやすかったです! また、書いてください!