オトモダチ
サエは私の、昔からの友人だ。今でも時々会って、こうして一緒に遊んでいる。 今日はまずショッピングに行った。それからここでゆっくりお茶をしている。 「ねえ、まだ時間ある?」 サエが私に尋ねた。 「うん、あと二時間半くらい」 「そっか。じゃあ映画観に行こうよ。気になってた映画があるんだ」 平日の昼間ということもあって、映画館は空いていた。 「良かったー、席、埋まってなくて」 「そうだね、良い席が取れたかも」 今の時間から一番早い回を予約したので、上映の時間はすぐに来た。 飲み物やポップコーンを慌てて買って、シアター内に入った。 サエの観たがっていた映画は、今話題になっているアクション映画だった。 「一人だとちょっと行く気にならなくてさ」 だから私を誘ったんだ。 「うん、私も。一人で映画行くのって、ちょっと緊張するよね。サエと来れて嬉しいよ」 「本当に? ありがとう」 サエは私に嬉しそうな笑顔を向けてくれた。 シアターを出て真っ先に目についたのは、グッズが売られているコーナーだった。 そこにはさっきの映画のグッズも置かれてある。 「わ、見てよ。さっき見た映画のグッズがたくさんあるじゃん」 「本当だ。私、買って……」 ピピピ……ピピピ……。 その瞬間、会話を遮るように携帯のアラームが鳴った。 「あ、時間……ですか」 目の前の、先程まで「サエ」と私が呼んでいた女性が訊いた。 「はい、そうなります。では代金をいただきますね」 財布から取り出され、手渡されたお札を確認する。 「一万、一、二、三……」 「あの……」 女性は申し訳無さそうに言った。 「なんでしょうか」 「もう少しだけ、延長できませんか。せめてグッズを買うまでは……」 「追加料金をお支払いいただけるなら」 「そこをなんとか。数分で済ませますから」 「“仕事”ですので」 そう言うと、とうとう女性は黙り込んでしまった。 お札を数える手を再び動かし始める。 「……六、七、八と。一万八千円、ちょうどいただきました」 女性はうんともすんとも言わず、その場に突っ立っている。 「延長は」 短く訊くが、首を静かに横に振るだけだった。 「では失礼いたします」 お札を財布にしまい、私は足早にそこを後にした。 「レンタル友達」というサービスが近頃流行っているらしい。 一時間三千円で、仲の良い友達を演じて、なんでも付き合ってくれるという。 ショッピングも、カフェでお茶も、観たかった映画も。 「昔からの友人」になることも。 「一人は寂しい」「一人は嫌だ」 そんな方はどうぞ、ご利用ください。 いつでもお待ちしていますよ。 ※もちろんフィクション こういうブラックユーモア? みたいなのが結構好きで、書いてみたかったんですが、結構難しい……。
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すごい!
利用は... やめときますw なんかお金高そうですし、なんか怖いなぁ…(ビクビク) オトモダチ....