『全てが手に入るとつまらない』
私の名前は伊集院 美麗(いしゅういん みれい)。容姿端麗、文武両道で、音楽や美術、家庭科や技術などほとんどの事を得意とする。私も通っている進学校でお嬢様学校の、伊集院女学園の校長をひいお爺様の世代から父が務めていて、私の家は言うまでもなく裕福だ。今まで失敗や手に入らなかったものもなく、順風満帆な人生をおくっている……と言いたいところだが、なぜか最近何もかもつまらない。人生がモノトーンに見えるような感じ。 実は私には好きな人がいる。白鳥 綾人(しらとり あやと)と言う高校2年生の私と同い年の男子だ。同じ進学塾に通っており、その美しい容姿に一目惚れをした。性格や家柄も良く、今年は運良く塾のクラスで同じになった。 「はじめまして」 私は勇気を出して白鳥に話しかけてみる。 「あ……はじめまして」 制服を見る限り、男子校に通っている事がわかった。きっと同い年くらいの異性と話すのに慣れていないのだろう。 それから私は白鳥に積極的に話しかけ、どんどん仲良くなっていき、また私はどんどん白鳥に惹かれていった。しかし、人生がつまらないというのは変わらず、むしろ白鳥と仲良くなればなるほど余計につまらなくなっていった。 そして白鳥と同じクラスになってから約11ヶ月。塾のクラス分けが近づいてきた。クラスが離れれば関係が途切れるような気がして、私は白鳥に告白する事にした。 塾終わりに白鳥を近くの人気のない公園に呼び出し、私は告白の言葉を口の中で繰り返した。緊張は全くしていない。今まで4回ほど好きな人に告白してきたが、全部成功して付き合ってきた。まあ、私が別に好きな人ができ、全員付き合ってから半年ほどでふったが。 「あ、伊集院さん」 白鳥が私に気づき、こちらに近づいて来た。白鳥が私の前に着くと、私は告白の言葉を口にした。 「私、白鳥君が好きなの。だから、あなたも私が好きならば、付き合ってくれない?」 しばらくの沈黙の後、白鳥はゆっくりと口を開いた。 「ごめん。僕は伊集院さんの事、好きじゃないんだ……だから、付き合えない。本当にごめんね」 そう言うと白鳥は走って公園から出て行った。 私の心は落ち込んでいなかった。むしろ、とてもスッキリしていた。今までモノトーンに見えていた人生が、鮮やかに色づいていった。 そうか……私の今までの人生は、上手くいきすぎていたのだ。だから、人生がつまらなく、モノトーンに見えていたのだ。人は、失敗や挫折をするからこそ、上手くいった時や挽回した時に、より嬉しさを感じるのかもしれない。 私は夜空を見上げた。いつも見る何気ない星空なのに、今までの中で一番美しく、綺麗だった。 そう、人生は全てが手に入るとつまらない。
みんなの答え
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素敵です
言いたいことが、短い中にぎっしり詰まっていて、それでいて面白くて感動しました。まだ誕生日が来ていなかったら、私と同い年ですね! 欲をいえば、最後の一行はあえて書かずに、情景描写で終わるのもよいかと。
感想
最初は完璧になりたいとか思ってたんですけど、 確かに全てが手に入るとつまらないですよね 美麗ちゃんがスッキリしたならよかったです!