あなたの笑顔が好きなんです。
「あ、あの。あなたのことが好きです!もしよければ、付き合ってください!」 は?突然すぎて、意味がわからなかった。私に?告白? 悪い冗談かと思ったが、目の前の彼は真剣な表情でこちらの返事をまっている。正直、好きでもないんだよな。 どうしたものかと、少し頭を働かせる。ふと、気になってきいてみた。 「気持ちはうれしいのですが、あなたは私のどこが好きなんですか?」 そう。思わず敬語で話してしまうぐらいなのに、この人は私のどこに惚れたのか? 「あなたの全てです。」 「とくに、あなたの笑顔がかわいいところとか。」 「そうなんですね。」 この答えをきいたとき、素直に、ああ、この人、可哀想。そして馬鹿だなと思った。 「ごめんなさい。私はあなたにふさわしい彼女にはなれません。」 そうして、彼の恋は終わった。 だって、しょうがないよ。私の全てが好きとか言って、私のこと全然わかってないから。 本当にあんなくだらない人たちと、心から笑ってると思ってるの? 口を開けば他人の欠点をつつくしかできない人たちと? 私だって同じ。周りに合わせることしか考えない、ずるい奴なんだ。もう、嫌だ。疲れた。 それなのに、付き合っている人の前ですら、偽物の笑顔を顔にはりつけて、愛想をふりまかなきゃいけないなんて。 そんなの、無理だよ。今度こそ壊れちゃうもん。 しかも、こんな最低な人間だってばれても、お互い居心地悪いでしょ。 そのままの私を愛せる人なんている訳ない。私といると不幸になるよ。 私は1人でいるべき人間なんだから。誰も愛さないし、誰からも愛されない。 「あの、大丈夫ですか?」 「え?」 「すみません。心配になってしまって。余計なお世話でしたか?」 ふと、目じりに手をやると、自分がいつのまにか涙ぐんでいるのに気づいた。 「いえ。大丈夫です。」 そういえば、この人どこかで見たことある。隣のクラスの子だ。いつもおとなしい。 「何かあったんですか。僕でよければききますけど...。」 「本当に大丈夫です。そんなに私と親しくもありませんよね。」 言ったあと、しまったと思った。折角、心配してくれたのに、酷いことを言ってしまった。 固まっていると、 「...。そうですよね。こっちの勝手な一目ぼれですし...。」 「え?」 「! すみません!...不快にさせてしまったら謝ります。」 「いえ。...あの、一目ぼれって?」 「前から見かけてはいたんですが...さっき、あなたを一目みて心が震えました。_泣いているのに、綺麗だった...。 あ!すみません。悲しいことがあったのに、綺麗だなんて...。」 「...。」 「じゃあ、僕は帰ります。今のは、忘れてください。」 「...待って。」 「?」 「他に、他に私の好きなところ、ありますか?」 「...ええ。人に気を使えるところ、優しいところ、暖かいところ。いつでも、誰かに寄り添っていて、尊敬していました。僕にはとてもそんなことできないから...。なにより、あなたの笑顔が好きです。」 ...この人も本当の私はわからないんだ。まあ、私の独りよがりだけど。 だから、次に彼の口からでた言葉は、一瞬理解できなかった。 「だけど、実は僕、あなたの笑顔を見たことないんです。だから、さっきのは勝手な推測です。」 そう言って、優しく微笑む彼に、ドキッとした。瞳の中に、熱い心が見えた。 「だって、あなたはいつだって、誰かのために笑っていたでしょう?」 その言葉に胸から熱いものがこみあげた。そして、ついには目からあふれてしまう。 それでも、何もいわず、そっと側にいてくれる彼は暖かく、私よりよっぽど優しい。 落ち着いた私は、泣いたあとで、けっしてかわいくはない顔を彼にむけ、言った。 「私も、あなたのことが好きです。」 彼は驚きながら、しかし、嬉しそうに 「そう。その笑顔が見たかったんだ。」 と暖かい笑顔で言った。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
すご!!
センスありすぎです!! そのセンス分けて欲しい! やっぱ青春っていいよねー