愛なのに。 ※LGBTQのうちGの要素有り
寂れた公園の隅のベンチに彼と二人座る。 「なぁ、裕太。」「何だよ、ひろと」 問いかける彼にこう答える。さっきからこれの繰り返し。 他愛も無いことを喋る。 ただ、それだけ。 それしか出来ない。許されない。 だって俺達が男同士だから。いや、男同士で付き合っているから。 いつもは家でデートし、絶対に外には出ない。だが、遊びに行っていた彼の家の周りでいきなり反対運動が始まったのだ...。それも同性のパートナーシップ法の。 パートナーシップ法っていうのは結婚とは違うけどそれと似たようなものだ。 彼等は何を思って言ってるのだろう。しかも炎上を避けるためか反対の根拠をまるっきし言っていない。 どうせ気持ち悪いのだろう。きっとただただそれだけだ。 他に何があると言うのだ?誰がそんなに困るんだ? 彼の前だというのに涙がひとつ、ふたつとどんどん零れ落ちていく。ひろとは驚いた様子で俺の背中をさする。 あぁ、優しいなあ。こんな人なら可愛い女の子と結婚して幸せな家庭を築いていけるだろう。なのにこんな俺ばっかり見ててくれるんだろう...。 そう思うとまた土砂降りの涙が頬を伝う。 あまりのことに彼が俺を抱き締める。とても、暖かい。本当はこのまま寝てしまいたかったけどさすがに彼の家まで来てそこまで甘えるつもりはなかった。「よしよし」なんて心地の良い低く暖かな声にナメンじゃねーっとか思ったけど案外悪くもなかった。 泣きやんだ俺の手をとり外へ向かう。デモ隊は運良く、ドアの方にはいまなかった。だが、全速力で駆け抜ける。彼、ひろとはよっぽど急いでいるのか繋いだ手を離さないままだ。通行人の驚愕や嫌悪、好奇の混じった視線を身体中に浴びる。俺が手をふりほどけばよかったけど、まるで普通のカップルのようで嬉しくてそのままにした。 木が繁った公園は少し薄暗く遠くの広場で子供の声が聞こえてきた。 走った後買った缶コーヒーの冷めた温度が俺の手を冷やす。デモのことを思い出したり、度々来る雰囲気の違いに気づいた人らが先程と同じ視線に小さなパニックにまた陥っていた。冷たい秋の空気を必死で吸い込む俺の手に彼の手が重なる。 とても自然で不自然な繋ぎ方。彼の温度が俺の心を溶かしていく。 ねぇ、誰も認めてくれないかもだけど。おれ ずっと、ずっとずっとそばにいてもいいですか? 掠れた呟きに答えるように俺の手がきつく握られた。
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凄いなぁ。
凄く良い話でした。 こういう形で皆さんに、伝えて行けたら良いですね。 なんでこれを受け入れないのかな。人間誰しも同じじゃないよって、 いつも思ってます。 LGBTの人を、暖かな目で受け入れられる社会がいつか出来ると良いですね。