ベビーカステラ
ひらりと舞う桜の花びら、ベビーカステラの甘い匂い。懐かしいなぁ _______________________________ 私は学校帰り、見慣れた道を通って行く。 ふと私の目に留まったのは、桜。一本の古い桜の木だ。 ひらり 私は花びらを掴もうとする。あぁ、また失敗。今度こそは! ふわっ 気を逸らす甘い匂い。 いい香り、ベビーカステラかしら。 ~3年前~ 隣に座る名も知らぬ君に『桜舞散私立中学校の方ですよね』と問う。 『あぁ』ぼそっと面倒臭そうに答える君。 会話が途絶える、沈黙を破るカラスの鳴き声。 人生初の一目惚れ。名前を聞きたくてウズウズする私。 『なんていう名前なの?君』ふふ、まるで心を読んでくれたみたい。 『美桜(みお)です』いい名前だね、を期待してしまう。 『あなたは?』沈黙の後、聞き返す。期待した私がバカだったわ。 『屋戸、奏真(やどそうま)』 結構気があって話してて楽しかったな。 数分後、自転車に乗る奏真。帰っちゃうのか、、、 『また会いに来る』 あの後何回も遊んだよね。また遊びたかったな。 ~今に至る~ あれから毎日私帰り道にここ寄ってんだっけ。 あの数日後に亡くなったって知った時は違う『そうま』だよ、と自分に言い聞かせてたよね。 『ねえ、奏真』桜の木に呟く。 『好きだよ』