空が、笑った。
雨の日だった。 ザアザアと雨が降って止まない。 森の中の小さな草から零れるしずくに小さな虫が驚いた。 生まれたての虫は初めて空に飛んだ。 世界を見た。雨は降り続く。 身体は雨の粒を反射して 静かに輝いていた。 虫は森を出た。 分厚い雲が空を隠して重そうに 漂っていた。雨は降り続く。 町では、人々が雨の止まない空を 見上げていた。 忙しく言葉を交わしながら、雨を 疎んであちらこちらに走っていた。 どんよりとした空気に人々は うんざりしているようにみえた。 小さな虫は飛び続けた。 町のずっとずっと上で揺れながら飛び続けた。 雨は静かに、まだ降っていた。 虫も、傘の花を見下ろしながらただ静かに飛んでいた。 町を少し外れると小さな子どもが 1人、たちどまっていた。 子供の頬は雨ではない温かいしずくで 濡れていた。 小さな虫は子どもの肩にとまった。 温かくて、穏やかな肩だった。 子どもは虫に気づいた。 虫を一瞥し、また前を向いた。 子どものきれいな瞳から、まだ静かに しずくは流れていた。 虫は胸が痛かった。熱くなった。 小さな虫は言葉を知らない。 子どもは歩いた。ゆっくりとだったが 確実に、一歩ずつ歩いた。 雨もひたひたと音をたてるかのように ゆっくりと降り続けた。 子どもの後ろから、鋭い声が響いた。 母親だった。子どもは走り出した。 どうして傘を差さないの、 寒くないの、母親の声が聞く。 子どもは答えない。じっと、肩にとまる 小さな虫を見ていた。母親も虫に気づいた。 ぷちん。小さな音だった。 虫がついていたわよ、母親はにこりと 笑って、子どもの手を引いて家へ帰っていった。子どもはこくんと頷いて、 母親についていった。小さな目には大きな粒が光っていた。 小さくて、はかない命は 静かに消えた。 雨はやんでいた。雲は少しずつであるが、太陽を見せるようにして払われて いった。 失われた新しい命を、 まだ濡れていた赤い頬を、 讃えるかのように空が笑っていた。 もうすぐ虹が出る。
みんなの答え
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すごい!!みんな見て!
なにこれかっこいいいっ!! めがねっちすごいね!! 文才ありすぎじゃない? これはみんな見て欲しいっっ!
こういうの作ってくれてありがとう
めがねさん、めっちゃすげぇよ。