私は宿題係
私は宿題係の、木下咲希。皆の宿題が出てるか、チェックする係だ。そんな私には、実は、好きな人がいる。高原優君。いつも無口で無表情。笑ったところをだれも見たことがないけど、実は、すごく真面目で優しい。そうじも人一倍真面目にしてる。 宿題係を始めてから、約一週間がたった。 休み時間、同じ宿題係の亜実に呼ばれた。「さき~ねえねえ、高原君、いっつも宿題わすれてない?」…そうだ。 高原君は、本当にたまにしか宿題を出していないのだ。「そ…そうだね」「どうしたら出してくれるんだろう…。」 その日の夜。 私はお母さんに相談した。特別支援学校の先生をしているから、何か力になってくれるかもしれない。そう思ったのだ。「宿題を出すのなんて当たり前なんだからさあ…」というと、お母さんは珍しく私の話を遮った。「あのね、当たり前ってさきは言うけど、その子にとっては、宿題をすることが当たり前じゃないかもしれないよね?どうして出せないか、理由を聞いた?」「…。」私は思わず口ごもってしまった。そうだ。当たり前は人によって違うんだ。「お母さん、ありがとう。明日、聞いてみる!」 次の日の放課後。 私は高原君を呼び止めた。好きな人にこんなことを聞くのは、すごく緊張した。 「あの、高原君。宿題をだせない理由って、何かあるの?」 高原君は、無言で、そそくさと帰って行ってしまった。 私は急いで家に帰った。そして、私は家を出た。行き先は、高原君の家だ。よく行く、«まんまるスーパー»の目の前の一軒家だから、覚えてる。行くと、高原君が、家に入るところだった。 「待って!」 「あっ、木下さん…」高原君は言った。 「しゅ、宿題を出せない理由ってあるの?何か理由があるなら、教えて!」私は言った。 高原君はぼそっと、「家まで来てもらったんだしな…」と言って、話し始めた。 「うち、お母さんがシングルマザーで、今は保育園にいる弟と、3人でくらしてるんだよ。お母さんは僕たちを養うために必死に働いてるんだ。だから、いつも帰りが遅くて、僕が代わりに保育園の迎えに行ったり、夕飯の支度をしたり、弟を寝かしつけたりしないと行けなくて…。疲れ切って、弟と一緒に寝ちゃうんだ。お母さんに負担をかけたくないんだ。だから、お母さんを支えてあげられるのは、僕しかいないんだ…。だから、いつも宿題がだせない…。本当にごめんなさい。」目に涙をいっぱいにためて、高原君は言った。 そんな事情があったんだ…。同じ小5なのに…。 私は言った。 「高原君、事情を教えてくれてありがとう。いつも、すっごく頑張っているんだね。できることなら力になるから、無理しないでね!」 「本当にありがとう。」 その次の日から、私は、高原君の代わりに買い物に行ったりしている。 それもあって、1ヶ月後の今はすっかり宿題を出せるようになっている。そして、無表情だった高原君の顔が明るくなっている。 その日の放課後。いつものように、高原君の家に行って、買い物メモを渡してもらった。高原君が急にこんなことを言った。 「いつも、本当にありがとう。木下さんが事情を聞いてくれたあの日から、僕の心が明るくなった。ほんとうに、木下さんのおかげだと思ってる。ぼく、そんな木下さんのことが、好きでした」 「私も、高原君が大好きだよ。これからもよろしくね!」 「ありがとう。木下さん。」 「さきでいいよ!」 「さき!ありがとう!」 二人の間を、暖かい風が吹き抜けた。 最後までお読みいただきありがとうございました。皆さんはどんなかかりですか? 私は宿題係です!
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
なるほど
理由はちゃんとあるんですね!! 大切なことを気づかせてくれてありがとうございます。
私は
私は連絡黒板係です! 職員室の前にある連絡黒板をみて教室のホワイトボードに次の日の時間割を書く係です! 【感想】 理由を聞いてみないとわからないよね! どうして出してないのかは。 良い小説ありがとうございました!