コーヒーの前に
ある日の昼。散歩の途中、自販機でコーヒーを買った。プルタブに指をかけ、軽く引いて、飲もうとしたとき。後ろから誰かが声をかけてきた。 「わぁ…小野寺先輩、コーヒー飲むんですか?オトナですね」 私が所属する文芸部の後輩、井上香子(以下、香子)だ。 「先輩、お昼ご飯もう食べました?」 食べていない、と答えると、 「コーヒーってカフェイン多いですよね?お腹すいてる時にカフェイン摂ると胃が荒れちゃうって聞きましたよ!」 なるほどだから日本でも客に茶を飲ませる前に菓子を出すのか、などと考えていると、香子が手に持ったレジ袋に入って板チョコの包装を解いて差し出してきた。 「どうぞ!さっき買ってきたんです!」 少々補足するとこれを食べろということだろう。だが香子が買ったものだから全部食べてしまうのは忍びない。板チョコを受け取って、半分に割って半分を香子に渡した。 「せっかくだから、一緒に食べよう」 そうして、自販機の前でチョコを食べながら2人で話をした。 その後部活以外に目立った交流はなく、お互い別の道に進んだ。 何年か経ったあと、私は25歳になっていた。ある休日に、自販機であの日のようにコーヒーを買った。 「もしかして、小野寺先輩ですか?」 ふりかえると、香子だった。 話を聞けば、今は有名な大学の院生であり、何か私にはよくわからない研究をしているという。 「よかったら、チョコ食べます?あの日みたいに」 成長したが私の知っている香子だ。笑って、受け取ったチョコを半分に割って差し出した。
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すごく短い短編小説でこんなに伝えられていたのはすごいと思うよ!香子ちゃんの会話部分だけを取り入れて小野寺先輩の心情を深く強調できていたと思います^ ^
よかった
文章の構成とかセリフの位置とか、めちゃくちゃ読みやすくて良かったです! 再会した2人が、このあとチョコを食べながらどんな話をするのかが気になりますね…(わくわく)
めちゃくちゃいい!!!
数年後に同じやり取りするとか良すぎる……(語彙力) あの日みたいに、って言うセリフがいいね!