王子様と狩猟民
誰にも見つからずに外に出られた。 無意識に詰めていた息を、ふうっとはきだす。 狭苦しい宮殿から抜け出して。 皇太子なんて身分、クソくらえだ。 思わず、笑みがこぼれる。 大きく深呼吸をして、駆け出した。 ・・・俺が目指したのは、宮殿から少し離れた、小高い山。 ここなら、そう簡単に捜し出される事は無いだろう。 森には、見た事のない物がたくさんあった。妙な色のキノコ、かさかさと走り回る小動物、生い茂る樹木・・・ 『・・・何だ、これは』 はたと足を止める。俺の足元にあったのは、花だった。花弁が兎のような形をした、桃色の花・・・思わず、誘われるようにして手を伸ばす。 『あかん!』 背後から聞こえた叫び声。驚いて振り返ると、息を乱し、焦った様子の少女が立っていた。 俺と同じ、15歳位の娘だ。背中に弓と矢を背負い、平民の着る、簡素なつくりの衣を纏っている。 だが、その姿形は、ハッとする程に美しかった。 『それ、触ったらあかんよ。毒やから・・・かぶれてえらい事になる』 聞き慣れない訛り。娘は俺の手首を握って、そっと花から引き離す。 『あ、ああ・・・感謝する』 どきまぎしながら言うと、彼女はにっこり笑って首を振った。 娘は、俺が王子だという事に気づいていなかった。この森で、狩りをしながら暮らしているのだという彼女は、何も知らない俺に、あれこれと森の事を教えてくれる。 彼女と過ごす時間は、キラキラと輝いていて。心の底から楽しいと思うと同時に・・・彼女と、ずっと一緒にいたいと思った。 『俺は・・・そろそろ帰らなければ』 甘い木の実を頬張りながら、ポツリと呟く。彼女の顔が、少し曇った。 『そっかぁ・・・分かった。麓まで送るわ!』 ふわりと笑って立ち上がる娘。彼女はふと、何かを思い出したように、パッと顔を輝かせた。 『そうや・・・おまじない、しよう!』 おまじない?聞き返すと、彼女はいかにもと頷いた。そして、自分の髪を結んでいた紐をほどき、俺の手を持ち上げる。 『また、会えますように。・・・いっぱいお話できますように!』 彼女の手が離れた時。俺の手首には、彼女の髪紐が、ブレスレットのように結びつけられていた。 その紐は、使い古されて色褪せていたけれど。・・・俺にとっては、これ以上無い最高の贈り物だ。 『・・・分かった。絶対に、また会おう。・・・約束だ』 そう遠くない未来。王位を継承した俺は、彼女を妻に迎えるのだが・・・それはまた、別のお話。
みんなの答え
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うおぉ(笑)
こんにちは! ましろです(*´∀`) 今回も不思議な雰囲気漂う小説…… そして描写が丁寧……! 情景がとても浮かんできます! 特に花弁のとこがうおってなった(笑) 王子様だから有り得る出会い…… 王子様が彼女を妻に迎えるというのは、相当彼女のことを愛しているのだなぁと(´`*)ほっこりします。 彼女の訛りが私と少し似てる!?とか思ったけど違った。普通に。 文末は同じやけど、「あかん」とか使わん~~この子可愛い~~ 素敵な小説ありがとうございました! またきっと見に来ます~ 約束だッッ(笑)
方言っ
関西弁使ってくださって本当にありがとうございますっ!ただでさえ方言が大好物なのに、キャラの設定に合っていてすごく素敵でした(*´▽`*) 王位継承して妻に迎えるってことはお妃様じゃないですか。お妃様が関西弁ってことですよね。…え、その国住みたい(笑) あっ、妄想はこの辺までにしときます!失礼しました( ̄▽ ̄;) 素敵なお話ありがとうございました♪
大抵は逆なのにあえて
こんにちは。 月灯 睡さんの作品は 多分初めて読ませていただくのですが、 おもしろかったのでコメントしました。 まず、設定がおもしろい! 姫と狩人なら聞いたことある。 結構ありふれてる設定。 だけどあえて逆なのが 新しい感じがしておもしろかったです。 世界感も容易に想像できるというか。 現実じゃ、こんな国なさそうなのに 「本当にありそう」と 私に思わせた文章力。 すごかったです、、、! また読ませていただきます。
おひさです!睡ちゃんだぁー!!
のおっ!こんちゃ☆秋菜だよー♪ おひさです!秋菜だよっ☆ 睡ちゃんだぁー!! 秋菜っぱ♪←気にせんといて! 覚えてる?秋菜だよっ☆(2回目) え、めっちゃよきよき(*´▽`*) 睡ちゃんすごくない?? え、天才ですよね?? 将来小説家希望? めっちゃいいよね! 妻に迎えるって…願い叶っとるやん! 王子様王位に行くとか… 別次元やな…。 あ、関西弁のなりそこないみたいのは気にしないでね♪ 睡ちゃん書く小説大人っぽいよね♪ 好きだわぁ♪ これからも自分のペースで頑張って♪ 応援してるっ☆ q(*・ω・*)pファイト! じゃ、ばいちゃ☆からの…ばいまおっ☆