大人になんかなりたくない。
「…もうすぐ、中学生だってさ」 なんてことない昼休みの教室。 窓の外には真っ青な冬晴れの空が広がっている。 教室には俺を含めて2人の人間が、一定の間隔を保ちながら過ごしている。 ___まるで相手のことなど微塵も見えていないかのように。 そんな日常の風景の中、俺と一緒に教室にいた萌英が突然言葉をこぼす。 「え?」 俺は思わず聞き返した。 「もうすぐ自分が中学生になるのが信じられなくてさぁ…馬鹿みたい。」 萌英はあははと自虐っぽく笑ってから、はぁと小さく息を吐いた。 「そっか、中学生になるのか」 俺は今まで知らなかったみたいに口に出した。 「…中学生になったら、何か変わるのかな。どう思う、佳?」 「…わかんない」 俺は何となく返す。 「…なんとなくさ、怖いんだよね、中学生に…大人になっていくのが」 「え?」 また聞き返してしまった。 「世の中に放り出されていくのが怖い。自由になるのが怖いの」 「…なんで?」 俺は聞く。 …自由は良いことではないのか? ありのままの自分を出すために必要なプロセスじゃないのか? …口先でしか言えないかもしれないが。 …俺も何となく混乱してくる。 「…それも分からない。何となく怖いんだよ」 さっきから萌英が言っていることの意味が分からない。 「明確な理由がないのに怖いわけ?」 「…うん。だから、馬鹿みたいだなぁ~と、思って」 __萌英も俺も、しばらく黙っている。 「まあ、お互い…いや、佳は何も思ってないかもしれないけど…頑張ろうね、中学生になっても」 萌英が誤魔化すように席を立った。 「あ、ちょっと」 俺は萌英を追った。 「ついてこないで」 萌英は言い放つと、駆け出して行ってしまった。 こんにちは、あと4ヶ月で自分が中学生になるなんて信じられない大福餅です。 大人になんてなりたくない女の子の話。 大人って、一体何なんだろう…みたいな哲学的な妄想から出来た話です。 オチ(?)は投げやりですが、よければ読んでやってください(笑) 主人公の名前は、萌英(もえ)と佳(けい)です。 感想、アドバイスなどお待ちしてます。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
分かります!
何ヶ月か前の私もそうでした! 今はもう馴染んでますけどね!
分からないものが、1番怖い
古来より人は、分からないものを恐れるそうです。目に見えない幽霊やおばけ、わけも分からず流行る感染病などを。 「新しいこと」もこれと同じで、分からなくて…だから何となく不安になったり、怖くなったりするんだろうなぁと思いました。私も「中学生」という肩書きを背負うとどうなるのだろう、とよく思っていましたが…いざなってみると、今までと思ったより変わらなくて、拍子抜けしたのを覚えています。 これは作者様が「今」という時を大切にしているからこそできた作品なんだろうなぁと、少し感慨深くなりました。 とても素敵なお話でした。ありがとうございました♪
感想
めちゃくちゃ良かったです! 萌英ちゃんの気持ちにすごく共感…… 自分も、小学生の頃は「中学生になりたくない、想像できないし怖い」って思ってました。 でも、僕は中学生になっても案外大きな変化はなかったように感じて、慣れてしまいました。 考えていたよりも大したことなくて、高校生になってもあんまり変わらないのかな、なんて思ったりもして。 それが一生続くのはやっぱり怖いです。 そんなことを考えさせられる小説でした。 大福餅さんが色々考えたり悩んだりしたからこんな小説が書けたのかなと思いました。 今は高校生になりたくないです。