短編小説みんなの答え:1

写真

私の家は代々写真家。 今日は暇だったので、私が3歳の時に亡くなった曽祖父の部屋を見ることにした。 生前から部屋はそのまま残っているのだ。 本のにおいがする曽祖父の部屋は珍しいものがいっぱい。 スイス民謡のオルゴール、よく分からない本、ホルマリン漬け。 見ているうちに、引き出しの奥から木箱を見つけた。 私の手の大きさくらいの薄い木箱。 中を見ると、1枚の写真が入っていた。 白黒写真で、モンペ服の人が写っていて、背景は崩壊した町々… そう、戦争の写真だ。 小学生くらいの女の子2人と男の子1人、そして中学生くらいの女の子が写っている。 多分、兄弟。 親は写っていない… きっと曽祖父が、若い頃撮ったのだろう。 みんな笑って、こんぺいとうを頬張っている。 私が見てきた写真の中で1番魅力的な写真。 写ってる姉弟は、生き生きしてる。 戦争中なのに。 凄い、素敵、魅力的。 素晴らしい写真なのに、怖さを感じる。 この写真を読み深めていけば、知りたくない物を知ってしまうかもしれないという恐怖。 ステキな笑顔の裏の苦しみ。 そんなことを考えると、見るのが辛くなる。 もう一度、見てみる。 何も変わっていない。 姉弟が笑って、美味しそうにこんぺいとうを頬張って、後ろに燃ている町々があって。 時代は変わっていくのに、この写真は変わらない。 そして、戦争の辛い辛い歴史も。 すっと写真を木箱に入れ、引き出しに戻す。 何も無かったよう、そっと。 この姉弟が幸せに安らかに眠れますように。 と、神に祈った。 私が出来ることはこれしかないのだろうか。 私が去った部屋の机は誰かの涙で濡れていた。

みんなの答え

辛口の答え

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主人公がすごく好き

主人公の感性やものの見方が、そっくりそのまま文体に現れているようで…主人公は慈悲深くて優しい方なんだろうなぁと想像させてくれました。とっても面白かったです(・ω・`*) 「写真」というキーアイテムをすごく上手に使っていらして、そこもまた素晴らしいなぁと思いました! 素敵なお話ありがとうございました♪


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