短編小説みんなの答え:0

私のために

私、友梨。小学6年生。 私には、二つ年上の兄がいる。 優しくて、頼りになるんだけど…。 この事は、お母さんの前での話。 お留守番の時とか…そういう、“二人きり” の時に起こること。それは……暴力。 毎回兄が言うこと。それも恐ろしい。 『これは、友梨のためにやっている』 …って。私のためとは思えない。 私は、もう、こらえきれなくなった。 -時が経ち、成人式。 兄は、忙しくて来ていない。 それはそれで…よかったかも。 「この後、どうする?どこか行く?」 友達が聞いてきた。別に用事ないし…… いいかな。大丈夫だよね。 「うん、行こっか。」 兄のことが心配…だけど、兄は私が 大事じゃないし。 「…でね、お兄ちゃんがプレゼントくれて…」 「何もらったの?」 「えっとねー…」 みんなが話しているのも、ろくに聞けない。 私は、兄に会いたいのかもしれない。 だって、こんなに…思ってるから。 「ごめん、私、帰る!またね!」 そう言って、私は家に帰った。 「お兄ちゃん…!」 兄の部屋のドアを開ける。 びっくりして振り向く兄が、なんとなく… いつもと違って見えた。 「友梨……」 「あのっ…私…」 理由を聞きたい…。あの時言ってた理由を…。 「…暴力の理由、でしょ」 「え…」 「あの暴力は、友梨がどんなことにも 耐えられる大人になれるようにしてた。」 「どういうこと?」 「…友梨は、生まれたときに体が弱かった。 心配だったんだ。いじめられるか。」 私を…守るため? 「強すぎたかもしれない。でも……。 言えなかった。友梨に言ったらどういう 反応するか分からなくて、怖くて…。」 「…だから、大人になったら言おうとしたの?」 少しの間、沈黙だけがながれた。 そして、兄は静かにうなずいた。 やっと、理由が分かった。長年知りたかった、 理由を。兄の暴力は、私のためだった。 もう、私は気にすることなく接している。 兄も、いつでも優しくしてくれる。 私と兄は、言いたいことを言いづらかった 関係だったのかもしれない。

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