その小鳥が羽ばたくことはなかった
その小鳥が羽ばたくことはなかった── 飛び立とうとすれば、烏が蹴落としに。 寒さに蹲ろうとすれば、雀が蹴落としに。 散々な目にあう。 そんな小鳥のロンは、月を眺めて言いました。 「僕、もう限界だよ。」 巣から足を滑らせ…いや、わざとらしく落ちていくロンの姿を、一人の梟の少女、フランが見ていました。 「面白かったね。」 ポツリと呟いた、闇の一欠片は、誰の目にも映ることはありませんでした。 「あぁ、可笑しい。」 烏のクロウが呟いた、闇の一欠片は、誰の目にも映ることはありませんでした。 どんな闇も、月がかき消してしまいました。 「…僕、どうなったの?」 ふんわり積もる雪のお陰です。 ロンは助かりました。 「ロンくーん!」 崖の上では、カワセミのヒィス先生が呼んでいます。 「どうしよう。のぼれないよ。」 ロンは、いつも皆に邪魔されて、飛んだ事はありませんでした。 「死んじゃえ死んじゃえ。」 そんな事を周りは口にして、嘲笑う声が崖に響き渡りました。 「…………。」 ロンは思い出しました。 死んでしまった、蜂鳥のロベルツの事を。 ロベルツは、体が弱く、イジメで死んでしまった、ロンより一つ年上の、隣の巣のお兄さんです。 泣き虫だったロンに、ロベルツはいつも言っていました。 《僕が死んだら、もう僕はロンを守ってあげれないんだ。だから………》 グッ、グッ。 《翼に、力を全て込めて…》 翼に、力を全て込めて… 《足にエネルギーを貯めて…》 足にエネルギーを貯めて… 《空を見て…》 空を見て… 「ダッシュだ!」 バサバサァッ! ロンは飛びました。 真っ白な翼を、誰もが見つめました。 月よりも眩いその光は、闇の夜を照らしました。 「ロン君!心配したよ。イジメられてるのを見たって、鷹のブレイン君が言ってくれてね。もう大丈夫だよ。」 ───皆さんお気づきですか? そう、これは鳥の世界に置きかえたイジメの世界です。 飛べなかったロン。 誰にも届かない闇の声。 飛ぶことで助かることが出来たロン。 勇気だけで、助かるものですね────
みんなの答え
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かんどう…
とってもかんどうしました…
素敵です!
私、動物が好きなので、読んでて考えさせられる部分もありながら、面白みというか、楽しさがありました。 もし良かったら、同じような目線で書いて下さい! 絶対読みます。
鳥……
闇の一欠片、などの表現が好きです。 わざとらしく落ちていく、っていうのも上手く喩えられていると思います。 ロンくんが飛んだこともですが、鷹のブレインくんがイジメを告発したのも勇気だな、と感じました。 すごく良かったです。