もしもし、受話器の向こうのあなたへ。
その電話がかかってきたのは、確か一ヶ月くらい前、何をするにもやる気が起きなくてベッドの上で死んだように寝転んでいたときだった。 切ってやろうと一瞬思ったが、知らない番号だったのでセールスかなにかだと思ったのか、相手をめちゃめちゃに罵倒してやろうとでも思った。 そのくらい、その頃の僕は色々なことに疲れていたのだ。 人間関係にも、金銭的な問題にも、それから、生きることにも_ いつの間にか死にたいと思うようになって、でも底知れぬ恐怖感がどこかにあって_結局死にきれないままでいた。 僕は勢いに任せて電話に出た。 「はい、もしも_」 『もしもし、受話器の向こうのあなたへ。今、あなたは悩み事がありますか?』 か細い、けれどもしっかりとした少女の声だった。多分僕と同じくらいの年だと思う。 言いきるのを待たずに言い切られて、僕は腹が立ってきた。 それに、言いたいことがなんだか分からない。 『私にはあります。もう嫌だと言うほどに。』 僕の声など聞くつもりはない、というように相手は続けた。 『それでも私は生きている。毎日休まず息をし続けている。それって、充分偉いことだと思うんです。誰かが肯定してくれるわけでもないのに』 小さくふふ、なんて笑いながら相手は続けた。 そのとき、僕の中のもやもやが音を立てて破裂した気がした。 「なんで、そんなに自分を肯定してあげることが出来るんだよ。誰かが肯定してくれるわけでもないのに」 『違います』 相手は僕の言葉を遮った。 『人は息をしなければ死んでしまいます。生きているのが本当につらいと思うなら、あなたは息を止めるのも苦しくないはずです』 その言葉が、妙に心にずしんとのしかかった。 『死ぬのが怖いのなら、それはまだ生きたいと願っている証拠。そうではないですか?』 「_ぼ、僕に聞かれても困るよ」 僕は泣きたいような、笑い倒してやりたいような訳の分からない気持ちを抑えながら相手に聞いた。 「なんでそんなことを言うんだよ?君は誰だ?僕の生きる意味ってなんだ?教えてくれよ_」 『_私は、その質問に答えることができません』 「知ってる!知ってるよ!この質問が一時的な八つ当たりだってことも!でもっ_でも、今の僕には_」 いつの間にか涙がこぼれてきて、止まらなくなっていった。 『_実を言うと、私にも分かりません。自分がなぜ生きているのか、それから_自分がこれからどこに向かっていくのか』 小さいとき以来だろうか、こんなにしゃくり上げて泣いたのは_。 「ごめんなさい、取り乱しました」 『いえ』 相手の声が、不意に小さくなったように感じた。 『…残念ながら、そろそろ時間のようです。さようなら』 「え?ちょっと、あの_」 『無理しすぎなくて良いんですよ。気楽にいってください』 「待ってくださいよ、まだ言いたいことが_」 『あなたは大丈夫です。私が保証しますから』 「待って!その保証は_」 言いかけたところで、電話は切れてしまった。 でも、僕の心にあったもやもやしたものは軽くなっているのを感じた。 僕は訳もなく、左手を握りしめた。 こんにちは、大福餅です。 自分は何のために生きるのか? なんだか電話をする話が書きたいなぁと思っていたら、たまには非日常的な話も書いてみるかと、全く知らない相手から電話がかかってくる設定ができあがりました(笑) 私は鏡を見ていたりする時、たまに「あれ?これって私なんだよね?…私って何だろう?何のために生きてるんだろう?」みたいな哲学的な考えが頭をよぎって来ることがあるのですが、みなさんはありますか? 良ければ聞かせてください♪ もちろん感想やアドバイスもお待ちしております
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すきぃ~
私非日常的なこととか大好きなのでこのお話すごく好きです!実は自分が何のために生きてるかなんて知ってる人はほんのちょっとしかいないと思うんです。だから自分が何のために生きてるかを考える人は少なくないと思うんですよね。そのうちの一人を描いた良い作品だと思いました!この主人公の気持ちが軽くなって良かったです!素敵な作品ありがとうございました!