ある雪の日の、青い車で。
今日は、朝から雪が降っていた。 外に出ると、ダッフルコートに白いフワフワした氷が落ちては、水になって溶けていく。 傘は持っているけど、ここでさすのは勿体ないような気がして、手に持ったまま。 そろそろ季冬だ。 もう、この雪ともまた来年。 私は冬が好き。冬に、外で出歩くのが、特に大好き。 冬にまつわる言葉が綺麗だから。 冬霞、冬化粧、冬木立、冬将軍。 春や夏、秋にだって、美しい言葉はあるけど、冬は特別な気がする。 透明感があるから。 まるで氷そのもののような表現。 そんなこと考えながら、ザクザクと霜柱を踏む。 真っ白な息が宙を舞う。 耳が凍るように冷たくなるけど、そこもまた好き。 カバンから耳あてを取り出して、ゆっくりと耳につける。 「傘をささないと風邪をひくぞ?」 声に振り返ると、おじいさんが、道の端に停めた青い車に乗り込みながら、私の方を見ていた。 ……えっ!? 「おや! こりゃ驚いたな。由紀ちゃんじゃないか。」 「おじいちゃん、久しぶりだね」 この人は、友達のおじいちゃんだ。 私のおじいちゃんが幼い頃に亡くなってから、ずっと私も、本当の孫のように可愛がってくれている。 おじいちゃんは、少し口の端をあげた。 「どこにいくんだね」 「郵便局だよ」 「そうかそうか。ワシは家内に頼まれて、スーパーに買い出しなんじゃよ。乗せていくぞ。」 いいの!?と驚いてそう言うと、おじいちゃんは頷いた。 車の中は、暖かかった。 一年くらい前乗せてもらったことがあるんだけど、窓に下げてある、私がプレゼントしたフェルトのマスコットが下げてあるのも、なんだか安心する匂いがするのも、全く変わってない。 エンジンがかかって、車が走り出す。 「今日は寒夜になるな……」 おじいちゃんがつぶやく。 外では雪が降り続き、窓には結露ができていた。 私は雪が降る日に、暖かいところで外を眺めるのも、出歩くのと同じくらい大好きだ。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
追っかけ多っ!
と言いつつ、素晴らしすぎたので、私も追っかけになる!笑
神だぁ
大好き! 最高! ほっこり幸せな気分になれました~ 私も追っかけ仲間に入れてください笑
うわ
最強レベルにほっこりする小説でした。 由紀ちゃんが何歳でどんな見た目なのか、はっきり明かされてないだけに、想像力があまり豊かでない私ですら、どんな姿か想像できたし、3歳上の兄にもおすすめして読んでもらったら『どんな風景か、はっきり映像のように浮かんだ。すごい』と感心してました! 私の想像の中の由紀ちゃんは、少しだけ茶色っぽい癖っ毛のショートカットで、えくぼができる可愛らしい女の子です。身長は普通で、優しそうな顔立ちを思い浮かべました。まあ、あくまでも私の想像ですけどね笑 私も追っかけの一人にならせていただきます!頑張ってください!
すっきぃ
これからも応えんしてます!おっかけになります笑
無題
この前、祖父が亡くなりました。死因は病気です。 すごく慕っていて大好きな祖父だったので、実感が湧かなくて、お葬式でも泣かなかったのですが、この小説を読んで、祖父の笑顔と声が蘇ってきて、初めて涙を零しました。でも、同時に優しい気持ちになり、寒い冬に暖かい車の中で、窓の外を眺める由紀ちゃんの姿が思い浮かんできて、これだけコメントがある人気小説なのはこれが理由なんだな、と勝手に納得しました。 ありがとうございます。 これからも頑張ってください。 長文失礼しました。
ネロさん!
最高でした!いい意味で不思議な感覚になりました(*´∀`*)
えええええすご
大好き!!!! また書いてください!!!!!!!
すげえ
こんなお話書けるようになりたい~ 天才だねネロさんは。
ハイ、天才
ごいりょくエグイ!
感想
コメント7件?どんな小説かな……と思って読んでみました。 ほっこり、優しく暖かい気持ちになりました。 確かに皆さんがこれだけ評価するだけある作品ですね。 こういうほっかり系ジャンルのものってあまり見かけないので、 新鮮だったし、読んだらハッピーになれるような、素敵な文章が印象的でした。 応援しています。頑張ってください。