砂浜に残った君の足跡【短編小説】
真夏の太陽は嫌いだ。たぶん、こっちを焼き殺しにかかってきてる。 「いやー、くっっっそうるさいね!」 「海来て、最初の一言がそれ?」 まぁ、確かにわかる。砂浜にはリア充の群れがきゃっきゃうふふしてる。 でも、海なんだからしょうがなくない? 「はー、暑苦し…。たく、爆発しないかな」 「愛…嫉妬がすごいね。なに、リア充に親でも殺されたの?」 「そんなんじゃないけど」 愛はそう言いながら、砂浜にシートと傘を広げた。 愛の鞄の中には、日焼け止めやらサングラスやら帽子やら、いろいろと入っていた。 _いっそのこと、焼けばいいのに。こんがり小麦色に。 「春樹ー! はやく泳ごうよ! 水着着てきたでしょ?」 そう言いながら、愛は服を脱いでいる。下はズボンの黒い水着で、上には水色のラッシュガードを着ている。 __他から見たら、僕らカップルなんだろうなー…友達だけど。 時間を忘れて、遊んでしまった。 すっかり空はオレンジ色だ。 「ねぇ、あれやらない?」 「あれ?」 愛が靴を履いて、立ち上がり、砂浜を指差す。 「ほら、砂浜でおいかけっこするやつ。私やってみたかったんだよね~」 「…あぁ、あれか。僕彼氏じゃないけど」 愛が笑った。 「知ってるよ。春樹は親友だから」 そう言う君の顔は、すごく素敵に見えて、なんだか苦しくなった。 「よしっ、スタート!」 なにが『よし』なんだか。 愛は海の方へ走っていく。 「ちょっ、待って!」 愛の笑い声が聞こえた。 「アハハハハ! 捕まえてみなさ~い!」 砂浜に足跡を残して、手を振りながら走っていく君。 「__捕まえたいよ」 足跡をたどっても、どれだけ走っても、本当に君を捕まえられないような気がした。
みんなの答え
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良かった
きゃっきゃうふふとか好きです。 主人公の春樹くんからの周りの見方の表現が分かりやすかったです。 『なんだか苦しくなった』とか、最後の一文とかから、 春樹くんが愛ちゃんのことをどう思っているのかが少しずつ伝わるようになっているのも良かったです。 あれですね、多分、切ない感じですね。 そういったいろいろな情景が綺麗に表されていてとても凄いと思いました。