東くんと棗(恋愛)
ったく、何なのアイツ!私は瀧棗(たき なつめ)、私立海中学園2年生!イライラしてて自己紹介適当!ごめん!で、何でイライラしてるかって?さっき廊下で爽やかイケメンとすれちがったわけ、でイケメンには好印象もたられたいじゃん?それで「おはよう!!!」って、挨拶したわけ。そしたら……無視だよ!?いくらイケメンだからって許さないんだから! 「え?棗知らないのぉ?」 この語尾が特徴的なのは海中舞。名前のとおりこの学園の理事長の娘……孫?どっちでもいいか。で、語尾からしてアホそうだけど学年一位の成績優秀者。え?私?どうでもいいでしょ。 「知らないって何が?」 「爽やかイケメンで挨拶返さないっていったら東太陽(ひがし たいよう)くんだよぉ」 「誰それ。てか、挨拶返せ」 「東くんはね……耳と目が不自由なのぉ……」 嘘……。私には到底理解できないような苦しみを抱えた人になんてことを……! 「謝ってくる!」 「ちょ、え?棗ぇ!」 障害持ちだから特クラか?校舎別かよ! ガラッ 「……誰かな?」 「あ、私2年の…………」 東くんは耳と目が不自由なんだった。え、どうやって謝るん? 「何か用なら点字表を使ってくれるかな?」 『私は棗。2年生』(以降、点字表での言葉は『』を使い記す) 「棗……ちゃん?」 それであらすじを説明して謝ったら…… 「あはは。棗ちゃん面白いんだね」 その笑顔にドキッとしたもののちゃんと聞いてみた。 『え?何が?』 「だって僕は君が挨拶してきたことすらわからない。僕からすれば謝られる理由がない」 それは……そうだ。やばい、赤面してきた。あ、でも東くんは目が見えないからよかった……わけない。 そして私は毎日特クラに通うようになっていた。そして……好きになっていた。 「東くんのことが好きぃ?」 「冲、声でかい」 「ごめん。でもあんな怒ってたじゃん」 「それは私が悪いんだからさ」 「でもぉ……無理だよぉ」 は?何で?何で冲はそんなこと言うの? 「何で?何で冲が決めつけるの?」 ダッ。私は特クラに向かって走った。 『……でね、友達とケンカしちゃった』 「ふーん。何でケンカしたの?」 えーと、えーと………。言えるはずない。はぁ、「仲直りしなきゃ」って言われるの待ってたのに……! 「仲直りするなら自分で決めなきゃね」 え、エスパーですか?でも……謝りたい気持ちはある……。 「冲ごめん!」 「わ、私もごめんねぇ」 「……きいていい?何で、無理だって思ったの?」 「だって……東くん、棗の姿とか声とか、わからないんだよぉ?」 ……………そうだ。東くんは視覚、聴覚、五感の内2つが全く持って機能していない。現実がある。私は……どうすればいいんだろう。 私はいつも通り東くんと話していた。東くんが喋れるようになるまでの努力、東くんの家族のこと……。いろんな話をしていた。 「ねぇ、棗。いきなりだけど僕たちって友達?僕は棗とずっと友達でいたい!」 頭が真っ白になった。私は……友達のつもりでいた。(片想いだから違うのかもしれないけど)それよりも……ずっと友達でいたい。「ずっと」。その言葉が私の胸に深く突き刺さった。そして……想いが溢れ出した。 「なんで!?私は東くんが好きだよ!それなのにっ、なのに……っ」 無論、聞こえていない。私のけして大きくない瞳からは涙がボロボロこぼれている。 「棗……泣いてる?」 そりゃ……わかるか。東くんの華奢な手の甲には私の涙が無慈悲にも落ちている。 「……棗。泣かないで。……さっきの言葉、撤回してもいい?…………君が……好きだ」 耳……おかしくなったのかな………。だって……好きだなんて………。もっと涙が出てくる。けど、これは嬉しい泣きだ。 「その涙が答えでいいのかな?」 私も好き。そう伝えようと東くんの手をとろうとしてやめた。この言葉は、気持ちは、想いは……点字で伝えるにふさわしくない。だから、力一杯東くんを抱き締めた。
みんなの答え
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感動!!
めちゃ、感動! がんばー
感動した
感動です。他の作品も楽しみにしてます。
やっぱすごい!
えっとヒガンバナとかドッペルゲンガーとかを書いてた雨下さんですよね?雨下さんの作品、楽しみにしてました!8、9月から間隔があきましたが、相変わらずの文章力ですね。いろんな系統をかかれていてとても尊敬します。次も楽しみにしています。