捕食
購買で買うコーヒー牛乳はいつもより100倍美味い。コンビニと購買だとこんなにも違うのか、と思う。 「何してんの?」 といちごみるくを手にして彼女は隣に座った。彼女はその可愛らしい顔をこちらにかしげる。その顔が可愛らしかったので、思わず頭を撫でてしまった。 そしたら、もう彼女は顔を赤くするものだから、可愛らしくて仕方なかった。今すぐにでも抱きしめたかった。 コーヒー牛乳を飲みながらいちごミルクの彼女と話してると、心が楽になる。 いつもより、やはり美味しい。 あのさ、と彼女は言った。 「私がいちごミルクを飲み出したのは、君がコーヒー牛乳飲んでるの見て、なんか憧れたんだよね。」 「けど、ここの購買のって苦いじゃん。」と彼女は薄ら笑った。 「だからさ、憧れても苦いから飲めないんだよね。だからいちごミルク。」 甘くてすごい美味しい、と彼女は言ってストローをゴミ箱に投げ捨てた。 でもこれ、私の命の代わりじゃないんだよね。 と彼女は笑って去っていった。 この世界は、「命の代わり」というものを常に携帯していないと、自分の命が危ない世界線なのだ。命の代わりのみを診断してくれる病院があるほど重大な物なのだ。私にとっての命の代わりは、コーヒー牛乳だった。その時、病院では、「コーヒー症」と言われた。今、家の大半は、コーヒー牛乳の紙パックで押しつぶされてる。家系で症状がほぼ同じだったのだ。 逆に、命の代わりを持っていないと、命が短くなる。長くても50年ほどしか生きられない。そんなん、恐ろしいな、と屋上から下を見つめながら思う。 屋上で、さっきのいちごミルクの彼女を見つけた。ふわふわした髪の毛を揺らして、校庭を歩いている。 今日も、彼女は可愛かった。 「私は女だから、恋は叶わないのだけれど。」そう、ショートカットを指で遊びながら呟いた。 _ 最初、私にとっての命の代わりが分からなかった。診断しても、「無症状」か、「不明」と出るだけだった。その度お医者さんの顔が曇っていたのは鮮明に覚えている。 高校に入学した時だった。 入学した時から気になっていた、ショートカットの彼女。いつもコーヒー牛乳を加えていて、バッグには「コーヒー症」と書かれたストラップが掲げられてた。 あのクールな彼女が、コーヒー牛乳なんて、可愛らしいな。 そう感じて、くすくす笑った。 そこからが始まりだった。 私も彼女の真似をして、コーヒー牛乳を飲み出した。だけど私は極度の甘党で、コーヒー牛乳でさて苦いと感じた。 やっぱり、私にはいちごミルクだなぁ。 これがショートカットの彼女にいちごミルクの彼女と呼ばれるようになった話だ。 だが、ふとした時、ある疑問に気づいた。「食物が命の代わりなら、すぐに診断結果は提出されるはず」だと。 それに、気づいたのは、彼女と話し始めて3ヶ月くらい経った時だった。 そこで、彼女の、朝日に照らされる横顔を見て気づいたのだ。 「私は、彼女が命の代わりなのだ」と。 _ 一生離れられたくない、けどいつかは離れる。命の代わりとして続く「恋愛」。 好きな人が貴方にとっての命になってませんか。
みんなの答え
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すごい…。
同い年だなんて思えないや…。 実は私、短編小説を書くことは得意な方なんだけど(最近書いてないけど)絶対に現実的なものになっちゃうんだよね。唯一現実的じゃ無いやつって言えば、結構前に投稿した(名前違うけど)男が女に、女が男に見えちゃう病気を主に使った話。あれはゴッタゴタだったなぁw この世界観の想像すごいです!感動します!しかも、まとめ方が上手ですね。 私も次はこんな小説挑戦してみようかな?
素敵…!
言葉の雰囲気が素敵ですね! 私的には「いちごミルクの彼女」が1番好きです。 その子のかわいらしい様子が目一杯伝わってくる言葉だなぁと思います。 それから、「捕食」というタイトルからは想像できない、物語に込められたメッセージも素敵です…! 甘くて純粋な恋愛が、とても生き生きと描かれていて……読み終わると、柔らかい気持ちになれる気がします。 楽しく読ませていただきました。 ありがとうございました!
命の…!
世界観(設定?)が魅力的で面白いと思いました。 もし自分がこの世界にいたら『命の代わり』は何だろうな、と 考えてしまいました。 嫌いなものじゃないといいな、なんて。 また『好きな人が命の代わり』といういちごミルクの子の 考え方が好きです。 というか両想いなやつですか……! ショートカット&コーヒーの子が「女だから叶わない」と 言っているけれど、互いの性別とか関係なく叶うといいですね。 いやほんと叶ってほしい…… そして生きてほしい。 好きな人が命なの同感。