遥
晴れた日には白いカーテンに白い服が同化して、白い肌の君は白い光に照らされる。揺れるカーテンに包まれて今にも消えてしまいそうな、まるでこの世の人とは思えないほど透明で、綺麗で、こんな感じに見惚れている私に気づくとこっちを見つめて頬杖をつき、妖美な笑顔で私の心を君の世界に閉じ込める。少し前までの話である。 ある日、君は私と一緒に星が見たいと言った。私は君のことが好きだったから二つ返事で了解し、夜の12時、近くの山に2人で向かった。すごく綺麗だった。無数の輝く星の下ではしゃぐ君はまるで妖精のようだった。 「綺麗だね。」 ああ、綺麗だ。なによりも、誰よりも。私はこの瞬間を、この幸せを、目に、肌に、耳に、足に、爪に、私の全てに焼きつけた。帰りに手紙を渡された。開けようとすると、今はまだ開けないで欲しい。これはここに埋めておこうと、そう言った。それから私たちは付き合うことになった。 ある日を境に君は学校に来なくなった。なぜ来なくなったかなんてその時は知る由もなかった。ただ、胸にぽっかり大きな穴が開いたようだった。そのまま半年が過ぎようとしていたとき、先生が朝のホームルームで大事な話があると、君の話をした。先生が何を言っているのかわからなかった。一瞬がやたら長く感じた。私は光を失った。 私はその夜、やたらと星が見たくなってあの時の場所に向かった。あんなに愛しあっていたのになぜ教えてくれなかったのか。こんなに愛していたのになぜ気付かなかったのか。あんなに愛していた私を1人にするのか。一緒にいようと言ったのは嘘じゃないか。君がいなくても星は綺麗だ。君がいなくても教室に差し込む光は白く輝き君がいなくても飯はうまい。君がいなくてもいつも通り時間は流れる。君がいなくても…。でも何か違う。何か足りない。君がいないんだ。それだけで同じ星でもこんなに違うんだ。違うんだよ…。埋めた手紙を掘り出して、封筒を破る。取り出した紙に書いていたのは私と君の名前だった。
みんなの答え
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すごくいい
文章には明確に描かれていないのに『君』がどうなったのか 読者が察すことができてしまう感じ、とても良いと思います。 『少し前までの話である』とか『光を失った』とかが すごく好きです。 また、最初の一文を読んで『白』が多いなぁと思ったら、 最後のあたりの『君がいなくても~』に繋がってくるんですね…… そういったものもよく考えられていると感じました。 すごく良かったです!