クリスマスイブ・イブの失恋
私は吹奏楽部の中学2年生。浅草花、って言います。パートはトロンボーン。意外だねってよく言われるけど、私はトロンボーンの音色が大好きだ。 そして、こんなに内気な私でも、恋をしている。相手は年下。 中学1年生の、村山るいくん。パートはパーカッション。 いつも遠くから見ているだけだけど、村山くんは思いやりがあって優しくて可愛くて・・・。なんだか見ていると嬉しくて気分がほっこりして・・・。 同じトロンボーンの後輩、ちょっと派手で私とは対照的な、堀越夏実ちゃんも「いいよねー」って言ってた。つまり、人気がある。 けど、それでも別によかった。いつか、話しかけて、仲良くなって、振り向かせてみせるって、心のどこかで決めてたからー。 +++ ++++++ +++ そして、クリスマスの時期がやってきた。街のあちこちでクリスマスソングが流れている。 (今日も村山くんとは話せなかったな・・・) 吹奏楽部の練習が終わり、軽くため息をついて学校をでる。吐く息は白くて、空気中にすぐ溶ける。いよいよ明日はクリスマス、そして部活のクリスマスコンサートだ。3年生は引退してしまって大変だけど、頑張らないと。ムンッと決意を新たにした時だ。 「浅草先輩!」 声がかけられてドキッとする。いつも意識しているからすぐにわかった。 「村山くん・・・」 話すのはもちろん初めて。・・・やだ。もう心臓がドキドキしてる。 「ど、どうしたの?私に、な、何か用?」 うわあ、ありえないくらい声が上ずってる。へ、変に思われないかな。 「はい・・・。先輩、トロンボーンですよね?」 「は、はい」 え?どうして村山くんが私のパートを知ってるの?もしかして、村山くんも私を見ていてくれたの?まさか、まさかね。 「よかった~。あの、僕、トロンボーンに好きな子がいるんです」 そ、それって。期待が高まる。鼓動が加速する。 「あ、あの。明日のコンサートのあと、堀越夏実にもみの木の前に来るように言ってもらえませんか?」 ーは?頭から冷水をかけられた気分。いや、熱湯かな・・・。頭が燃えるように熱くなったから・・・。でも、心は一瞬で冷え切った。何を言われて、それがどういう意味なのかも、わかってしまったから。 「実は僕、ずっと、なつみのことが好きだったんです。でも言う勇気がなくて・・・。だけど僕、決心したんです。クリスマスに夏実に告白しようって」 私の胸は痛いほど波打っている。キリキリと締め付けられる。 「ねえ、先輩。夏実のこと、よろしくお願いしてもいいですか?」 大きくて澄んだ、村山くんの目が私を見つめる。 ーどうせ叶わない片思い。それなら最後に親切にして、いい先輩と思ってもらえる方がいい・・・。苦しくて、悲しくても・・・。 私ははーっと息を大きく吐き出すと一息に言った。 「うん、いいよ。・・・頑張って」 その瞬間村山くんは満面の笑みを浮かべた。いい笑顔。 「はい!ありがとうございます!頑張ります!」 そして、「では!」と去って行った。 ーよかったね、堀越さん。両想いじゃない。おめでとう! ・・・やだな。私、素直に喜べない。だって、大好きだったんだもん。その証拠に、ほら。 頬に涙が伝ってるー。
みんなの答え
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読んでくれてありがとう
コメント嬉しいな! 変な文字コードが途中入ってしまってごめんね~~。
スゴッッ!
感動ッッ!超良い話です!
(号泣)
両想いかと思ったら、切ない恋とは、、、、 泣きました、 久しぶりに泣かせてくれてありがとうございます。