日溜りに透けるアウイナイト
あちらこちらから、冬の悲鳴が聞こえます。そう、今日から冬休み。 宿題に唸りをあげる者は数知れず。 かくいう私は憂樹 瑚蓮(ゆうき ころん)。 とうの昔に宿題なんて終わらせた。 近所の猫は皆、友達。 お蔭様で情報収集も可能になりました。 「瑚蓮。」 「あれ?普君…。」 私は急いで階段をかけ下りた。 「どーしたの?」 彼は蜜詩 普(みつし あまね)君。 彼の兄はメンタリスト。そんな私の幼馴染です。本当は大好きなんだけど。 恋、してる。 「お誕生日おめでとぉ、瑚蓮。」 「あ………。」 自分の誕生日さえも忘れていた。 今日は12月26日。 そうだ…。そうだった…。 「どーかした?」 「…ううん、ありがと。」 「えっへへ、うれしーな。 …あれぇ?またお絵描きしてたのぉ?」 「えっ?何で分かったの?」 「ほらぁ、それ。」 普君は私の手を指差した。 「鉛筆の跡で真っ黒じゃん。」 「…うん、そーだよ。お絵描きしてた。」 「そっかぁ。」 「寒いね、家入って。」 ■憂樹家■ 「ねー、瑚蓮。」 「うん?なぁに?」 「ゴミ箱満タンだよぉー。」 「あっ!?ごめんね!最近絵に集中してて…」 「どーりで。」 ピロリン♪ 〈クラスLINE〉と表示される画面上を見つめる。 〈嗄癒:瑚蓮さん、宿題できてる?〉 あぁ、なぁんだ。撫川 嗄癒(なつかわ さゆ)さんからのクラスLINE。 シュポッ。 〈瑚蓮:猫達から情報収集して冬休み前にとっくに終わらせてる。〉 ピロリン♪ 〈羽嵐:マジで?さっすが瑚蓮さん天才やな。天才は何でもできるとかチートやんけ。画力も最強とか草WW〉 心が痛くなる。 絵は好きで描いてる内に上手くなっただけ。 天才なんていないのに。 それが理解出来ないなんて随分と無能になったものだな、現代人。 〈瑚蓮:あっそ。普君、今、家に招いてるからLINE返ししないでね。〉 心の傷は消せないなんて、誰でも知ってる、知ってる。 だから無理強いはしない。 心の傷を消してほしいなんて…。 「ねー瑚蓮、プレゼント開けてみてよ」 「うん…。」 ガサガサ。 宝石の様なきれいな石。 「わ………!綺麗…。」 「アウイナイトっていう宝石の一種だよ。石言葉は〈慰め〉〈過去との決別〉〈励まし〉。」 「なんでこのチョイス…?」 「僕知ってるよ。瑚蓮、最近頑張りすぎて疲れているでしょ? クラスLINEも抜けたいって思ってる。」 「うん…」 さすが、メンタリストの弟だけあるな…。 「幼馴染なんだから知ってるに決まってるでしょぉ?」 「え…?」 「瑚蓮だぁいすきだよぉっ!」 「ふぇっ!?」 「僕達の記念石だねぇっ♪」 「…もぉっ!大好きだよっ!」 「えっへへ♪」 縁側に置いたアウイナイトは、日溜りに透けていた。 END
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アウイナイト、初めて知ったので調べてみました。 めちゃくちゃ綺麗!教えてくれてありがとうございます! 瑚蓮ちゃんも普くんもすごく可愛くて良かったです。 なんとなくほのぼの感がある……