クリスマスの日、君に伝える
最近、私の県でも雪が降り始めた。 去年は積もるほど降らなかったそうだが、今年は大雪になるらしい。 _と、そんな事を思っていた時、目の前に黒い影が映る。 「おひさ、優香!」 低く、ハスキーな声でしっかりと人物が予測できる。 私の彼氏、阿久(あく)だ。 「久しぶり。」 私は彼へ作り笑いを向けて、本題へ持ちかけようとする。 だが、私よりも彼が先に口を開いた。 「最初、どこ行こっか?」 微笑む彼は、なんとも憎めない顔立ち。 第一印象は、ほとんどの人が「イケメン」だと思う。 今日は、クリスマスという事で普段よりオシャレだ。 ロングコートに薄生地のブーツ、ふかふかの黒い手袋。 それに加えて、身長の高い彼はどう見てもイケメンだろう。 (……でも、顔に騙されちゃいけないんだよなぁ) 「あー、ごめん。今日はその用事で来たんじゃないないんだよね。」 すると彼は不思議そうに首を傾げた。 あの事に気づいていなければ、可愛いって思えた。 でも、今は彼が何をしようと無感情だ。 「何、悩み事でもあるの?相談のるけど。」 よくそんな言葉が出てきたものだ。 貴方は、してはならない事をしたのに。 私は今度こそ本題へ持ち込んだ。 「もう、演技しないでいいよ。浮気、してるんでしょ?」 浮気。 その言葉を口にするだけで心が痛くなる。 信じたくない。 あの彼が、優しくてかっこよくて、輝いている彼が浮気なんて。 今にも涙が溢れそうになる。 「……気づいてたんだ。」 彼の小さい声が私の耳にしっかり聞こえる。 「うん、最近気づいた。……それで、もう私と別れて欲しい。」 口が裂けても言いたくなかった言葉を、ついに口にしてしまった。 でも、仕方ない事だ。 私を裏切った彼と、これからも笑顔で過ごす事なんて私には出来ない。 「わかった。いろいろごめん。」 彼からの返事は否定などは一つもなく、別れる事が決まった。 でも、なんか悲しくて涙が溢れた。 (自分から振ったのに、バカ……) 今までの彼との思い出が頭の中で駆け巡る。 「じゃあ、さようなら。……優香、今までありがとう。一緒にいて楽しかったのは本当だから。」 彼は私の気持ちを知る事なく、背を向けた。 そんなこと言ったら、もう一度やり直せるんじゃないか、という期待が過るじゃないか。 だが、自分から別れを告げた事に変わりはない。 前のように戻ることは無い。 私は、キラキラと光るクリスマスツリーを静かに見つめた。 でも、思い出すのは彼の事ばかりだった。end
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
切ない、、、
胸がぎゅっと締め付けられるような気持ちになりました。 悲しい。切ない。 場面の設定がわかりやすいし、読みにくい人名へのふりがなの配慮も素晴らしい! 個人的な意見ですが、最後の別れの場面の表現に雪とツリーをもっと絡ませられたら素敵だなあと感じました! 例えば、 『だが、自分から別れを告げた事に変わりはない。 前のように戻ることは無い。 私は、キラキラと光るクリスマスツリーを静かに見つめた。 でも、思い出すのは彼の事ばかりだった。』 の所を 『まるで私の心を写し出しているかのように再び雪が降ってきた。 「ホワイトクリスマス…か。」 自分で別れを告げたのに、彼との思い出が蘇ってくる。 賑やかな周囲の中に取り残された私は、きらびやかなツリーから目が離せなかった。』 みたいな感じで! 最初の雪を伏線にして、最後に繋げられたら素敵だとおもいません?