そのおみくじは、恋を叶えるか?
「お待たせ、待った?」 「ううん、全然!」 「そっか。あーえと、あけおめ?」 「ん! あけおめー!」 些細なデート気分を味わい、現実では違うんだよなぁと悲しくなる。滅多に見れない私服姿の彼女は、俺の恋人ではない。ただの、俺の片思い。 もともと、俺と彼女とそれぞれの友達、四人で初詣に行こうという話になっていた。でも残り二人はここには来ない。 「ビックリだよね、まさかカップルになるとは……」 彼女の発言に、ホントになぁ、と返す。 二人はクリスマス直前、ギリギリセーフでリア充になりやがったのである。驚いている俺達に 『じゃ、そういうことだから初詣は二人でいってら~!』 とリア充は言い放った。そして付き合いたて特有の初々しさもなくいちゃつき始めたのは、今でも鮮明に思い出せる。爆発しろ、お幸せに。 鳥居をくぐって石畳を歩いて、本殿へと向かう。 本殿へと続く道には、順番待ちの人だかりができていた。割と大きい寺院だから、初詣の時期は混み合うのが常。毎年やっているように、人だかりの後ろにつく。 「わっ……」 横から小さな声がしたと思ったら、彼女が人だかりに押し流されてしまいそうになっていた。 「え、宮代さん!?」 みやしろ、と彼女の名を呼びながら、彼女の腕を掴んで引き寄せる。 「っと、危な……大丈夫?」 彼女の顔を覗き込むと、彼女はコクコクと頷いた。 なんだか顔が赤くて不思議に思っていると、 「谷知くん、腕……」 と言われてはっとする。やち、は俺の名である。 パッと手を離し、 「ごめん、痛かった?」 と声をかけると、また彼女はコクンと頷いた。にしては顔赤くない? と思いながらも、人だかりについて前に進む。 本殿の階段を上り、賽銭箱に小銭を入れる。何円入れようか毎回悩むのだけれど、とりあえず財布に入っていた十円玉を全部入れた。六十円だった。 合掌して目をつむり、 (宮代さんと付き合えるように頑張ります。よろしくお願いします) と自分にしては真面目なことを思って、一礼をする。 隣を見ると彼女がまだ目をつむっていた。相変わらず可愛いな、なんて不謹慎なことを思う。やべ、仏様に怒られるかな。許してください。 おみくじを引かないか、という彼女の提案に乗り、二百円のおみくじを引く。 財布に入っている百円玉は二つだけで、さっき賽銭にしなくて良かったと心底思った。 「あ、大吉」 という彼女の言葉を耳にしながら、自分もおみくじを開く。 「あっ、俺もだ」 「大吉?」 うん、と返しながら、1番に恋愛の欄を見る。 今の人が最上。迷うな。 ん? と思っていると、 「谷知くんっ」 と声をかけられる。 顔をあげて彼女の顔を見ると、なんだか緊張したような顔をしていた。 「私、恋愛の欄に『積極的にせよ』って書いてあったの」 だからね、と彼女は続けて 「私、好きな人に告白しようと思う」 と宣言した。 (……え) 好きな人いたの? 誰? 告白? いつ? いろんな疑問が一斉に押し寄せて、頭が使い物にならなくなっている間に、彼女は俺に言った。 「私、谷知くんが好きです。付き合ってもらえませんかっ」 と。 (……へっ?) さらに頭がパンクして、キャパオーバーってこれだわ、なんて関係のないことしか考えられなくなる。 そして1番最初に理解できたこと。 ──宮代さんと、両思いだって、こと。 自分のおみくじの『逃すな』の文字に背中を押される。 「告白してくれて、ありがとう。俺も宮代さんが」 好きです、と噛み締めるように言った。 「宮代さんから告白させちゃってごめん。俺と付き合ってくれる?」 そう聞くと、彼女は真っ赤な顔でコクコクと頷いた。 二人で真っ赤な顔をしていると、近くを通りすぎた外国人の男性に 「Happy ever after!」 と言われた。ハッピー? ハッピーニューイヤー? と思ってとりあえずサンキューと返すと、彼女がふっと吹き出した。 「意味、わかった?」 と笑う彼女に問われて、正直に首を振る。 「末永くお幸せにーって言われたんだよ」 「え」 「告白、聞かれてたみたい」 へへ、と笑う彼女。 「末永くお幸せにいよーね」 と言った彼女に、もちろん、と答えて。 彼女につられて、笑みを浮かべた。 END 読んでくださりありがとうございます!楽しんでいただけたら幸いです。 臣です。おみ、と読みます。お寺のイメージは善光寺です。毎年大勢いる外国人の方も、今年はいないのかなぁと思って登場させた外国人。宮代さんはリスニングが得意です(謎設定)。 感想やアドバイス、お待ちしています。応援してくださる皆さん、大好きです! ※自分がされて傷つくことは、絶対にしないでください。
みんなの答え
※きびしいコメントを見たくない人は
「見ない」をおすと表示されなくなるよ!
すごい!
バッド・エンドかな? って思ったけど、違いました! 恋愛小説が苦手なので、 尊敬します! 良かったね! 恋が実って。 これからも頑張って下さい!
終わったんですね…
どうも、鈴木爆撃機です。 これが臣さんの最後の短編小説ですね。 最後まで面白い小説でした。 …これで終わりなんですよね。 本当に楽しかったです。 臣さんの、あなたの書く小説が、僕は大好きでした。 素敵な短編小説を、今までありがとうございました! 短編小説コーナーが復活することを願います。 それでは、臣さんの人生が大吉でありますように。 さようなら!
臣ちゃん!
こんちゃのーん!のん♪あまゆだよ! 覚えてるかな…不安だけど、 いつも臣ちゃんの小説を読んでた あまゆだよ! 今回なぜ回答が遅れたかと言うと もし、臣ちゃんが期間終わるまでに 投稿しなかったら(言い方悪いけど) この小説が最後になっちゃうって ことじゃん…。ということで最後まで とっておきました(´∀`)♪ 大好きな臣ちゃんの小説ですもん! 楽しみはとっておくタイプです♪ 私が知ってる臣ちゃんの小説、 最初から最後まで最高な作品でした! キャラもこだわってますよね!? 外国人の発言とかナイス発言でした! 主人公ちゃんも主人公くんも 可愛いし、臣ちゃんの描くキャラ みんな大好き!リア充もな!(笑) これからも沢山応援してます! 大好きです!今まで素敵な小説を 書いてくれてどうもありがとー!
あけましておめでとうございます!
新年早々臣ちゃんの小説……! おみくじで恋結びとか、もうキュンキュン要素が満載すぎて癒されましたありがとうございます。 やっぱりこういう初々しい恋っていいですね。応援したくなります。 でも個人的には、最初に出てきた友人カップルもわりと好きです(笑)末永く爆発しろ! 次も楽しみにしてます! 良い一年になりますように! それでは♪
凄い!そして偶然…
臣さんの短編小説、毎回拝見しています!(語彙力ない) 今回も神作です!私もこんな風に短編小説をうまく書ける ようになりたい!1回投稿したけど採用されませんでした(;_;) あと、偶然が起こりました!おみくじの恋愛の欄についてです。 私・・・今の人が最上 迷うな 弟・・・積極的にせよ だったんです!この短編小説読んだ瞬間一瞬自分の目を疑いました! ちなみに私は吉、弟は大吉でしたー。どうでもいい情報は 置いといて…次回も楽しみにしています!あ、プレッシャー 感じたらすみません。
おみくじ、、!
こんにちは。 明けましておめでとうございます。 おみくじに勇気づけられて 告白って可愛いですね。 永遠の憧れです。笑 彼女ちゃんが可愛いのが伝わってきて、 彼氏くんの気持ちがよくわかりました。 2人とも、 相手に振り回される感じが良かったです! いつも素敵な小説ありがとうございます。 また読ませていただきます。
ふふ(´`*)
こんにちは~ましろです(*´∀`) ……可愛いね、ね。(?) 二組とも、爆発してねーお幸せにねー。人生山あり谷あり。 まず名前のセンス良いなぁと思いました! いや、谷知ってどうやったらでてくんの。 凄いお正月の設定生かしてますねー(笑) おみくじの文字に押される。うわぁロマンロマンバロン(アッッオシ……) 外国の方……いい仕事しはりますやん(エセ)面白い……! 笑える所もあるけど、ちゃんとストーリーになってて凄いです。 そして私は語彙力が凄いです(笑) 素敵な小説ありがとうございました!
展開が……
こんもは~!萌羽輝です!もはき、と読みます。 元ぽんちゃです! 名前、覚えてくれたら嬉しいです。 少し展開が早すぎる気がしました。 もう少し具体的に表現すると良いかもです! その方が内容がわかるし、最後まできちんと楽しめるので! 次の小説期待してます。
ハッピ一ニュ一イヤ一!
遅れましたが、今年もよろしくお願いします!(?) まず、題名が、「?亅マ一クってセンスある。 やっぱ、神社行ったらおみくじ引くよね。私、今日行ったんだ~。(←余計w) おみくじの書いてある通りに行動したくなるよね。あ、小吉だったよ。(←フツ一w) 主人公の気持ちに共感! そして、外人さんに告白聞かれてた・・。(日本語はわかるのかな?英語しゃべってたけど) 最後におもしろいところがあるのも臣ちゃんの小説の特ちょうかな。 今回も、すばらしかったです。 ハッピ一エンドは私、好き! 次作待ってます。
あけましておめでとうございます!
新年早々臣ちゃんの小説……! おみくじで恋結びとか、もうキュンキュン要素が満載すぎて癒されましたありがとうございます。 やっぱりこういう初々しい恋っていいですね。応援したくなります。 でも個人的には、最初に出てきた友人カップルもわりと好きです(笑)末永く爆発しろ! 次も楽しみにしてます! 良い一年になりますように! それでは♪